もし人を好きになれなくなったら、どうするだろうか。
答えは千差万別だと思う。
けれどその問いに対する答えのひとつが、主人公を通して見えた。
そして、主人公の選択や思いに嘘がなかった。そこに書いてある言葉の数々は、すべて主人公の語彙で、主人公の経験からきていて、ストーリー展開のために演じているような部分が一点もないと感じた。
短編という短いストーリーの中で、登場人物たちの癖や温度感、そしてそこに書かれていない生活の裏側まで想像させられるような、奥深い心理描写がとても魅力的だった。
物語は終わったけれど、これから先も古瀬と高宮の人生は続いていく。そう思わせられる一作だった。
小説の中だけで生きているのではなく、クリスマスの願いはずっと終わらない。これから彼らがどうなっていくのか、とても気になる。
そして終わり方が、また古瀬という少女の淡泊な部分をうまく表しているような――高宮もだが私も古瀬に突き飛ばされた、そんな感覚が走った。
大変すばらしい読書体験をありがとうございました。