第5話 小説家豪邸連続殺人事件①

IT企業[Red Ocean]オフィスのコーヒーメーカーが沸き上がると上機嫌な糸澤が作られたコーヒーが注がれたマグカップを片手に小走りするとビジネスチェアに座る


検索のためにパソコンから打ち込まれる文章は予測変換されて彼自身が隅々まで打ち込まれた文章ではなく機械によって補正された文章になる


AIによって生成された動画が機械音声のBGMを背景にして流れると赤星雲統は手を叩きながら大笑いする


「ふっふっふっ...これはっ...馬鹿だねぇ...イグアナって...イグアナと原始人が戦ってる...堪えろ糸澤充/イトザワミツル...」


ホワイトボードに貼られたポスターでは若くして全てを手に入れた男と称されている大企業の社長 糸澤充であっても笑いのセンスまでは手に入れられなかったらしい


机の上には様々な推理小説やら派手なトリックが記されているであろう推理漫画やらが積まれており彼から推理ゲームのための意気込みが伺える


扉が開かれると角刈りの配達員が偏食気味の糸澤が頼んだオムレツ弁当を置いて話しかける


「押忍?もしかしてAIの動画を見てます?」


「押忍を疑問形で使うヤツを初めて見たが...AI動画を見ていることが配達員のキミに関係あるかな?」


「いやぁ...なんか気味悪く無いですかね?AI特有の何やら不揃いな感じがして自分は苦手なんですよ...そういうの」


「その疑問については理解できるな...AIの画像生成なんかはネットに転がっている膨大な量の画像から学習したデータを混ぜることで新たな画像を生み出している...まぁCPUとかGPUの話もすると長くなるから割愛するけど...


ようはAI生成の物には何処かで見たような親近感と何処でも見たことが無いという疎外感が中途半端に感じられて...中途半端な不気味さを覚えるんだ」


配達員は納得した様子で頷いているが赤星雲は話を続ける


「人間の顔なんかをリアルに作らせると面白いぞ?

不気味の谷現象ってのが起こりやすくなる...


人形なんかが中途半端にリアルになると人間に近いが人間では無いという違和感から不気味に見えるという現象だ...画像生成でも稀に起こる」


「確かに...たまにありますねぇ...画像生成って指の数が6本だったりヘソの数が2個あったりすることとかもあって...アレも不気味だと自分は思います...」


「AIは人間の要望だ限りなく近い画像を作るだけ...人間の常識も価値観も理解できない...その固定概念を壊すために...俺は自律型AIを作ったのだがな...」


Xan Visorを取って仮想世界に飛ぶ準備をすると顔見知りだが名前も知らない配達員に向けて赤星雲は冷淡に話す


「悪いが帰ってくれ...[ふつう]の仕事を開始する」


配達員が急いで出ていくとサンバイザー型のベッドデバイスのボタンが押されて糸澤の意識が仮想世界に行く準備がされる


⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜

⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜FAKE・PAIN〜作られた真実〜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜⸝ဗီူ⸜

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演技 アクション 推理の様々な難易度を3つの選択肢▶︎かんたん ふつう むずかしい の中から済ませると機械により作られしミステリーワールドへと向かう


遂に[かんたん]から[ふつう]の事件に挑むことが可能となった糸澤充が赤星雲統に変わっていく─










「昨今ではAI生成の作品だけではなくAI補助利用の作品にも苦言を呈す人が多く...漆日さんの作品も槍玉に上げられることが多いと聞きました!!


自分が良くも悪くも世間に注目されてしまっているという事態に漆日さんは...どう思いますか!?」


「仮にAIの作品だったとしても生み出された文章を最終的に選出するのは人間だ...つまり面白いと面白くないの違いが分からない人間がAIを使った所で...


生み出されるのは稚拙で凡庸でガバガバな作品ってワケなんだよねぇ...悲しい話...才能が無いヤツはAIを使っても才能が無いままだからねぇ?」


「ほうほう...」


「今の俺がAIに手伝ってもらっているのはあくまでも情報収集だけであって生成に関しては何とも言い難いが...3流が作品で売れるなんてことは起こりえないとだけ言おうか...読者は馬鹿じゃないからね」


何とも会話の要点までもが分からない状態で目覚めた赤星雲は横の二見鏡狐に肘打ちされると慌てた様子で2人の会話内容をメモに書き写す


訳が分からないウチに彼は豪邸の玄関に立たされており成功者となっているためか漆日は左側の書斎?の方を気にしながら話しかける


「僕みたいなクズ小説家の所までピッチピチの若手の記者達が取材に来てくれるなんて嬉しいよねぇ?ささ...上がってくれたまえ...あまり荒らすなよ?」


「それでは、お邪魔します!!ほらアカグモくんも愛想良くして!!人気小説家の取材なんだから!!」


玄関の靴棚の近くには大量の炭が置かれており階段の近くには殺虫スプレーなんかもセットで買われていたのか大量に置かれている


甲子園の後なのだろうか大量の砂も袋に纏められて玄関に置かれており金持ちの家には本当に意味の無いかものが多く転がっているものだなと思う


何となく設定を把握した赤星雲は軽く会釈すると二見と共に漆日に背を向けながら靴を脱いでいく執事服に身を包んだ炎藤が歩いてくると


2人の手に持っていた鞄やらジャケットやらを回収して主人と客人に気を配りながら奥の部屋に行く


豪邸なので間取りの把握から苦労しそうであるが赤星雲は注意深い観察力で頭の中に勝手に仮の間取り図を形成していく


(玄関の正面には物置きとメイドの部屋への扉と2階へと続く階段か...左手には広いリビングがあり水音が聞こえるからリビングの外には庭がありプールがある...対して右手には執筆用の書斎部屋か...)


「2階には寝室まであるが漆日は結婚していない...あんなヤツが結婚できるとは思えないからな...」


[ふつう]難易度を選んだせいかフタミの右目には片眼鏡/モノクルが付けられており可愛さと探偵感が倍になっており


一回転することで茶色いチェック柄のスカート付きの探偵服を全体を魅せていく正統派美人な顔つきから彼女には白いワンピースの方が100倍は似合っていると会う者は口々に言う


青色のショートカットを揺らす彼女は靴を脱いだかと思えば豪邸の内装をボケーッと見ているだけのように見えるアカグモに大声で話しかける


「アカグモさん聞いてます!?AI小説家やAI絵師が増えててAI不使用...AIを使わない人達が作り上げた団体とバチバチに戦り合ってるんです!!」


「へぇー」


「一昔前はAIによって単純作業の仕事が奪われるなんて言われてましたけど!!今じゃブルーカラーよりもホワイトカラーの仕事が減っています!!」


「ソレをNPCの中にあるAIが口にする時代か」


漆日楼に着いてくる形で豪邸の広いリビングに行くと食虫植物が植えられた花瓶や最低限の大きな机と椅子があるだけ


テレビの前には寝ころぶためのソファなどが置いてあるが金持ちの家にしては分かりやすい高級品は見当たらない


何処かガラリとしているが壁に立てかけられた絵には紫色の空に灰色と黒が混ざった台風が中心に描かれており何とも不吉な印象を受ける


よく考えると漆日楼は何時もと同じようにカーキ色のコートを着て出迎えに来ており金持ちであろうが貧乏人のクズ小説家であろうがスタイルを曲げない男なのかもしれない


彼はテーブルの近くにあった4個の椅子から1つをリビングの真ん中で客が座る前に颯爽と足を組んで座り推理中の赤星雲くらいには格好つけている


彼の口に微かについた食べ物の汚れを執事服が異様に似合っている車広が無言で拭き取りグラスに注がれた天然水を主人である彼に手渡す


「驚いたかな?最近は4月から軌道に乗ってきていてね...執事やメイドの数を増やすことにしていたんだが...知っているかな?最近でも執事やメイドのサービスを請け負う会社は多いんだ」


「殆ど家政婦じゃないか?それ?」


取材中の金持ちに向けたアカグモの無礼な一言にフタミは思い切り肘打ちをして彼を黙らせると会話に乗っていく


「さすがハイセンスな漆日さんですね!!もしかして食虫植物にも何か作品に繋がるメッセージがあるんでしょうか!?」


「うーん...君は名探偵にはなれないが良い家政婦には成れそうだねぇ...本当は有毒植物を植えたが執事の車広/シャヒロに止められてしまってねぇ」


腐れ金持ちから料理教室で毒殺される男から行方不明中の娘を探す父親から執事にジョブチェンジした車広は丁寧に名乗る


「執事長の車広凱/シャヒロ ガイです...豪邸の全てを任されています...以後、お見知り置きを...」


「ロボット掃除機に役目を奪われてそうだな」


「ロボット掃除機にできないことを全て任せれておりますので豪邸の中で何か困ったことがあれば何時でも対応します」


「いや、車の上に落ちてこなければ何でもいい」


漆日は大きな窓から朝日が差し込んでいるというのに欠伸をすると両手を伸ばして部屋のテレビの前に置かれたソファに寝ころぶ


コートを脱いで床に投げ捨ててからトレードマークの丸眼鏡⚯を煩わしそうに外すと個性が急に無くなったため誰か分からない ただの男にしか見えない


フタミは広い家の中を両手を広げてアルプスの草原かのように駆け回りながら漆日に話しかける


「すごーーーい!!ひろーーい!!漆日さんってペットとか飼わないんですか?こんなに家広いのに」


「あぁ、ペットね...飼わないよ...だって不衛生だし俺は生き物が昔から大嫌いだからね...人間だって俺以外はノリで滅亡しても良いと思ってる」


「すっごい性格悪いです!!」


テレビを付けると見覚えのあるAIで作られた映像が流れて赤星雲は腹を抱え何とか堪えながら人前での笑いを押さえる


「ふっふっふっ...イグアナ...イグアナと原始人が戦ってる...やばっ...堪えろ▓▓▓▓.........ん?」


赤星雲統は自分の現実世界である名前を言おとすると自分の口から規制音が飛び出すことに気づいた


「▓▓▓▓▓▓?え?▓▓▓▓▓...おぉ...▓▓▓▓...ゲームの中で自分の本名を言うことはできないのか...個人の情報には規制音がかかるのか...▓▓▓▓▓▓▓▓」


苗字や名前だけでも規制音が飛び出してしまい放送禁止用語の類にもゲームは反応しているらしい


口から奇声を上げるのは簡単だが口から規制を上げるのは人間技じゃないとしか言いようがない


そんな今更な気づきなどに興味が無いのか椅子に座る漆日に向けてフタミは質問をする


「あの...AIに詳しそうな漆日さんに聞きたいんですけど!!AIって何でもできるじゃないですか?小説を書いたりもできるし...逆にできないことってあります?」


「単純な話だけど誰でも触れるようなAIなんかは反社会的な文章だとか文言を生成することはできないね...AIを作った連中が規制をかけるからだね...


これはAIが知らずのうちに犯罪の片棒を担がないためのシステムだねぇ...現実的な犯罪を手助けするような提案も書けないねぇ...


推理小説のトリックを考えさせることもHな文章を書かせることも同じくらいに難しいだろうねぇ...」


アカグモは小さく反論する

「だが...FAKE PAINは違う...俺の自律型AIを高度に改造した結果...この世界のNPCは自分で考えて他人を傷つけたり...不適切な事をしたりする...悪質だ」


彼の声はNPCであるアホ2人と執事長には届かないようで部屋の中に紳士服なのにも関わらず首にはヘッドホンを欠かさず付けている炎藤が入ってくる


「漆日様...”個人的な趣味の部屋”から”異音”が起こっているとアンナから報告がありました」


「はぁ...答えは何時も単純な所にある...なのに誰も答えをみようとしない...直ぐに向かおうかねぇ...」

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