第二章 始まりは青い春③
文化祭の演目は喫茶店やお化け屋敷、縁日と言ったおおよそ想像通りのものが出揃い、そしてそれらをまとめたものを、文化祭実行委員の二人が翌日の委員会で勝ち取ってくれるのを待つこととなった。文化祭の演目を決めている間も時々飛んでくる恨みや嫉妬、好奇の目から逃げるように身を縮ませていた賢人は、鈴木先生が簡単に明日の予定を伝え終え、教室を後にするなり脱兎のごとく教室から逃げ出した。後ろから何やら聞こえた気がしたけれど、構ってはいられない。学校から少し離れたところにある公園のベンチに腰を下ろしてから、今いる場所を光輝にメッセージで伝えてようやく一息吐く。
明日は朝イチのホームルームで、本来は今日する予定だった自己紹介やらなんやらをすると話していた気がするが、他に何かすると話していただろうかと記憶を辿り始めた頃、先程とは比べられない程ににやにやと腹立たしい笑みを浮かべた光輝が公園にやって来た。
「今日けんけん目立ちすぎじゃない?」
「……目立ちたくて目立ったんじゃない」
光輝は賢人の隣に座ると、項垂れている背中を勢いよく叩く。元気付けようとしているのかもしれないが、ただただ痛い。
「いやー今日のけんけんはまさに“持ってる”って感じだよね」
「どうせならもっと他のことが良いんだけど」
「なんで?」
意味の分かっていない光輝は、キョトンとした顔でこちらを見る。確かに光輝は知らないもんなと、口を開いて説明しようとしたが、口から滑り落ちて行ったのは別の言葉だった。
「頼む。ちょっと遠い映画館でも良いから、さっき話してたスプラッタ映画に連れて行ってくれ。なんならポップコーンぐらいなら奢る」
初めて映画館で観たスプラッタ映画は、意味が分からないほど怖くて観ていられなかったけれど、確かに光輝の言う通り現実を忘れさせてくれた。でも、その日眠ることができなかったのは言うまでもない。
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