第2話 モブ、世界の厳しさを知る

 転生したら、人生イージーモード。そんなことを考えていた時期もありました。今では強くなるため、泥水をすすりながら訓練をし、苦しみながら落ちる生活を過ごしている。

 

 チグハグだった2つの記憶はこの1週間で落ち着いた。メインは大聖の記憶だが、上手くタイセイの記憶とも混ざりあった。


 そして大聖の記憶を元に考えた結果、この世界はどうやら『どきメモ』の世界のようなのだ。


 最初はどこのラノベだよと思ったが状況証拠を積み重ねた結果、間違いないと確信した。


 しかし俺はストーリーを知らないので、これからどうなるのか全くわからない。

 ただ天下統一版にオーステックという土地はあったが、このオーステック家は存在しなかったはずだ。そして微かな記憶だが、スタンピードが起きて滅びた家があった気がする。


 その記憶を元に考察すると、オーステック家がスタンピードによって滅びた家の可能性がある。いつ来るか分からない、オーステック家の滅びを回避する為動かないといけない。


 なので俺はこれからの行動表を作り、動き出した。


 しかし行動表を作った初っ端に問題が発生した。


 その問題とは、俺が弱すぎたのである。弱すぎたとは言い過ぎかもしれないが、今の俺には年相応の子供の能力しかなく、チートなんて夢のまた夢だったのだ。


 だが目標達成の為にどうしても俺は一定以上の強さを手に入れる必要があった。その為にレベル上げは必須だ。


 それなら訓練よりレベル上げをすればいいと思うかもしれないが、今の俺にはそれができない。


 なぜなら、俺がいるオーステック大森林の最低必要レベルは10。近くの狩り場は俺にとって適正範囲を超えた場所なのだ。だから俺は泥水を啜ってまで努力をしている。


 俺がチートキャラだったら、こんなことはなかっただろう。しかしこの一ヶ月で俺はチートキャラではないことが確定している。


 ゲームでもチートキャラは存在しており、攻略対象キャラは全員そうだ。チートキャラの特徴は初期の能力値から周りと比べて飛び抜けている。それに比べ俺の能力は周りと比べて並程度だった。


 もし俺がチートキャラなら初期の能力も高いから能力でのゴリ押しができたのに、、、。自分の能力を把握した俺はひっそり枕を濡らした。


 ゲームでの戦闘力の計算は修練値✕能力値となる。この算出方法が変わってないことを願いながら俺は戦闘力を上げるために修練値を上げるために訓練をしている。


 修練値は訓練が伸びがよく、戦闘でも少し修練値が入る。逆に戦闘ではレベルを上げるための経験値の伸びがよく、訓練でも少しの経験値が入る仕様だ。だからバランスよく、訓練と戦闘を行う必要がある。


 ただ今の俺はアランにより戦闘はまだ早いと魔物狩りを禁じられている。なので手っ取り早く強くなることができない。

 俺のショボいステータスではどうしようもないので、仕方なくアランの許可が早く下りるように訓練をしている。


 訓練と言っても基本は剣の型の練習で素振りをしている。先生役はクライ兄ちゃんだ。アランもたまにアドバイスをくれるが、稽古まではつけてくれない。まだまだ早いらしい。


 しかしクライ兄ちゃんにはガンガン稽古をつけている。クライ兄ちゃんは俺とは違い選ばれし者なのだ。


 そんな選ばれし者、クライ兄ちゃんの逸話はアランとの最初の立会でもう少しで1本を取りそうになったらしい。手加減があるとはいえ、元Aランク冒険者のアランから1本を取れそうになるなんて尋常なことではない。

 すぐにクライ兄ちゃんはアランに能力を認められ、時間のある時は訓練をつけてもらっている。


 ちなみに俺の身体の元主のタイセイは手も足も出ず、すぐに1本を取られたらしい。それ以降は型の練習しかさせてもらっていない。



 そんな選ばれし者であるクライ兄ちゃんは王立学園へ通うことが決まっている。

 王立学園は『どきメモ』の舞台となる王都にある学校というパッケージ知識はある。

 それ以上の知識はないので素直に無印版もやっておかなかったことが悔やまれる。

 ただ、話によると試験に受かった優秀な人間が通える場所であり、貴族位を継ぐ嫡男の入学は必須のようだ。だから貴族になるための最低限の関門であり、貴族の子供は受験勉強を必死に頑張るようだ。

 そんな王立学園は入るのも難しいが入学後も大変で、能力に応じてクラスが決まるらしい。

 なので、将来の箔をつける為に少しでも学校でのクラスを上げれるように生徒も親も必死になるようだ。

 例に漏れずアランもクライ兄ちゃんの将来の為に、クライ兄ちゃんの能力を上げることに必死なのだ。

 まあ、俺はクライ兄ちゃんがいるので跡を継ぐ可能性は低いので後回しになっている。


 アランがクライ兄ちゃんに期待するのは仕方ない。クライ兄ちゃんは弟の贔屓目なしに才能豊かで頭も良く、武や魔法の才がある。それに比べ、俺の才の平凡なこと。

 そんなクライ兄ちゃんと比較される俺はクライ兄ちゃんの出涸らしと呼ばれている。

 そんな天才のクライ兄ちゃんでも毎日欠かさず努力を続けている。なのでどんどん実力が引き離されている。俺も腐らずにクライ兄ちゃんを見習わないといけない。

 

 クライ兄ちゃんは良くできた兄で才能もさることながら人格も優れている。

 なので自分の訓練の間にしっかりと俺の稽古もつけてくれている。本当に感謝である。


 クライ兄ちゃんの天才性は能力だけでなく、教えることにおいても天才だ。才能がなく、覚えの悪い俺でも成長を感じられる位の成果がでている。俺の武と魔法の才は凡人の域を出ないが、魔法が使えるだけよかった。土魔法と水魔法が使えるので、使い物になるようにするためにクライ兄ちゃんの力を借りて訓練を続けている。


 ちなみにクライ兄ちゃんは魔法の訓練1日目で魔法が発動できたらしい。さすが兄上、天才だ。


 兄は兄、俺は俺、自分の最速のペースで頑張らないといけない。こんなことを思えるだけの心の余裕があるのは人生2回目だからであろう。


 こんな感じて俺はアランの許可が出るよう日々死にものぐるいで頑張っているのだ。

 

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