第60話 【神話】国生みの神話
これは、昔から伝わる国生みの神話である。
創造神がいた。彼は、男女の神を創造し、彼らに国の造営を任せた。二柱の神は男神カイル、女神ルナという。二柱は、それぞれの得意な手法で国土を造った。すなわち、剣の神であるカイルはその斬撃で南に谷を、北に荒野を造った。魔術の化身であるルナは、その慈愛に満ちた魔法で草原や丘を造った。
この二柱、国を造るにあたり、東に何も造らず。カイルとルナは、仲睦まじく国の中心で過ごしていた。二柱は子宝に恵まれ、それぞれ天と地を守護するように命じた。しばらくして、もう一柱生まれるも、その際に女神ルナは命を落とす。怒り狂った男神カイルは、我が子の首をはねる。しかし、何度斬っても首はつながる。不気味に思ったカイル、東に獄を造り、封じることにする。こうして、東には穴が開き洞窟が造られた。
獄を造りてしばらくのち、カイルも命を落とす。すなわち、我が子を殺そうとした罰のためである。こうして、天地を守護する二柱のみが残った。三柱目の行方を知る者はいない。
注1)これは、国造りの神話であり、王家が天地を治める礎となった。王歴が使われるようになったのは、二柱から数代先のことである。
注2)神話には、いくつかのパターンがある。すなわち、最後の一柱が国を丸ごと滅ぼすというものである。しかし、これは王家誕生と矛盾する物語であり、正史とは相いれない。
注3)この神話は、とある国の神話と似ているとの報告がある。各地の神話は似たものが多い。これは、人間の無意識による喜怒哀楽によるためであろう。
文責:王都 歴史編纂部 ルキア
【研究員のメモ】
喉が渇くのではない。私は、何かを「産もう」としている。腹の中で蠢く「三柱目」が、私の肉体を突き破り、このナゴノの地を獄に変えようとしている。
【研究員のメモ:追記】
学生が「先生、おめでとうございます。御子の誕生ですよ」と、血まみれの包丁を持って拝んでいる。王暦は終わる。これからは、三柱目が統治する「安らぎの暦」が始まるのだ。
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