第43話 【個人手記】調査員ミレットの記録14

 今日は、ギルド長の指示で言い伝えに出てくる村の古井戸に向かった。どこにでもある、普通の井戸。調べる価値なんて、どこにもない。なんで、長は――ギルベルトさんは、こんな無意味な命令をしたのか理由が分からない。これ、新人調査員のすることじゃないかな……。



 念のため古井戸を覗くと、私の顔が見つめ返す。でも、それだけじゃなかった。水面には速記用のペンがが浮かんでいた。まるで、生き物のように。見間違えじゃなきゃ、あれはワットさんのもの。なんとか拾って、ギルド長に報告しなくちゃ!



【研究員のメモ】

学生が古井戸の再調査に向かったきり戻らない。プレハブの水道から出る水が、昨夜から少し「甘い花の香り」が混じっている。そして、排水溝の奥から、カチャカチャと「ペンで何かを書くような音」が聞こえてくる。



【研究員のメモ:追記】

ミレットが井戸で見つけたペンは、今、私の机の上にある。いつ、どうやってここに来たのかは分からない。ただ、ペンが勝手に動き出し、何度も、何度も、紙を突き破るほどの勢いで書き連ねている。「ギルベルト、ギルベルト、ギルベルト」と。

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