第40話 【個人手記】調査員ミレットの記録13

 この前読んだ「土砂崩れの惨劇」に出てきた「ギルベルト」って、もしかして今のギルド長かな。過去の日記を読み返していて気づいたのは、48年前――ダブルセブンの災厄の時にロゼーヌさんのお父様と「安らぎの洞窟」へ向かったのが「ギルベルト」って人だということ。これは、この前手に入れた遺品リストが証明しているわ。



回収日: 王暦77年10月7日

場所:座標(26.1)

・ロアー氏の鞭→武器店にて売却を確認

・アルバム(一緒に写っているのは、ギルベルト氏か)

・写真1枚(ロゼーヌ嬢か)

・音録石6つ

・金貨1枚

・銅貨3枚



 ロアーっていう人がロゼーヌさんのお父様なら、アルバムに写っているのがギルド長のギルベルトさんのはずだけど……。これ、今の長とは全然違う。年を取っていることを考慮しても。それに気になるのは、ギルベルトさんの遺品が1つもないこと。これは、スライムに襲われて跡形もなくなったから? 残念ながら、遺品自体の保管期限は10年。もし、当時の音録石があれば、詳細が分かるのに。ないものねだりをしてもしょうがないか。ギルド長に直接聞くのは、気が引けるな……。



【研究員のメモ】

王暦77年、10月7日。48年前……。

偶然か。安良木村で最初の大規模な土砂災害が起きたのも、48年前の1976年だ。

そして現在、私の目の前にいる「学生」も、昨日とはどこか顔つきが違う。



【研究員のメモ:追記】

学生が私のことを「ギルベルト先生」と呼び始めた。訂正しようとしたが、喉から粘り気のある音が漏れるだけで、言葉にならない。私の指紋が消え、指の腹が吸盤のように変質している。他の学生は「先生、カバンに鞭がありますよ」と言って、それを首に巻き始めた。「すごく懐かしい」と、つぶやいている。彼らの脳に異常が出始めたのか……?

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