第24話 【童話】安らぎの王国(異伝)
これは、昔から「拠点村」周辺に伝わる童話『安らぎの王国』である。なお、王暦121年7月14日に聞いた内容とは大きく異なる。どうやら、老婆ロゼーヌも異伝があることを失念していたらしい。以下、王歴125年10月20日時点のものである。
あるところにスライムがおったとさ
その体長は伸縮自在
ボタンほどから洞窟まで大きさ自在
スライムは炎が弱点で
楽勝だと魔導士は豪語
いつもスライム一掃し
無双し村に金銭もたらす
ともかく強く頼りになった
頼もしかった魔導士も
のんびり油断をしていたら
死んでしまって大騒ぎ
いつも「安らぎの村」で
よほどのことがあったのさ
以上が、今回の聞き取りで判明した異伝である。どこかに違和感を感じるが、気のせいだろうか。もう少し、内容を精査しよう。それにしても、私以外にもダブルセブンの災厄を調べている若者がいるらしい。敵味方が分からない以上、むやみに接触すべきではなかろう。4年ぶりだが、「拠点村」の閉塞感は変わらない。部外者で、かつ、1人の私には変化をもたらすことはできない。もどかしいが、仕方がないのか。明日も引き続き情報収集を続ける。
文責:王都 歴史編纂部 ルキア
【研究員メモ】
『安らぎの王国』の異伝だが、これの文章の冒頭をつなげると、意味不明な文字列になる。あ、そ、ボ……? これは、何の暗号だ?
【研究員のメモ:追記】
さっきから学生がうるさい。「先生、遊ぼうよ……。ねえ」と、壊れたラジオのように繰り返すのみ。「スライム……と、楽し……いよ」と口ずさみだした。待てよ、この童話。二段落目以降も冒頭をつなげると、何かの意味になりそうだ。漢字は、音の最初の文字だけ読むのか……?
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