第4話 【極秘】ギルド運営理事会・第112回議事録
これは、ギルド本部の地下金庫から発見された秘密文書の写しである。以下、可能な限り原文を維持した形で公開する。
【ギルド運営理事会 第112回議事録】
日付:王暦125年 10月16日
担当:速記官ワット
ギルド長:
「みなのもの、よくぞ集まってくれた。ワットくん、いつも通り速記を頼む」
ワット:
「心得ております」
ギルド長:
「よろしい。早速だが、議題に入る。先日、音録石が見つかった。これは、新米ギルド『夜明けの翼』の所持品であった。問題なのは、『清めの塩』についての言及があることだ。アレは、『安らぎの村』でしか手に入らないもの。これが漏れ出ると、このギルドが関与しているのでは? というあらぬ噂が広がる」
議員A:
「つまり、我々ギルドが、あの村での儀式なしでの立ち入りを規制しているからですか」
ギルド長:
「その通りだ。これは、不名誉なことである。従って、音録石は秘密裏に処分したい。ミレットが回収したブツはどこにある?」
議員B:
「ギルドの遺品保管棚にあります。この理事会が終わり次第、処分いたします」
ギルド長:
「そのようにしてくれ。次の犠牲者が出ないことを祈りたいが……。おそらく、今回の一件を知った新米たちが押し寄せてくるに違いない。村の広報係に伝えてくれ。『妙なまねはするな』と」
議員A:
「かしこまりました。あそこの宣伝は過激すぎますからな」
ギルド長:
「よし、今日はこれで解散だ。もし、問題があれば再度招集する。ワットくん、この記録は地下金庫にしまい、厳重に管理するように。以上」
【速記官の私記】
ギルド長は深いため息をつき、しばらくの間、殉職した新米冒険者たちの写真を見つめていた。その背中は、ひどく小さく見えた。
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