白昼夢と現実、美しい二項対立

 白昼夢と現実の揺らぎを彼女の声と語り手の思考で描写する構図が、まるで自分自身が体験してきたかのような相反する葛藤を想起させます。
 また、本文中に登場する「呪い」という言葉には『のろい』だけでなく『まじない』という意味が込められているような気がして、そこに見える二面性が深く、鋭い読後感を生み出している一編でした。