第18話 抗争前
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結鶴が朝帰りでそのまま大学へと行き、寝ないで真木組の事務所に入ると、宮崎が「朝まで遊んでどうです? 気晴らしになりましたか?」と聞いてきた。
「怒らないのか? 任務の妙案も見つからず、勉強もしない、中途半端な奴に?」
俺がそう言うと、宮崎が「ベイカーさんは使いません。妙案が見つかりました」と言い出した。
「それは当たり前なことだが、妙案とやらを聞こう。何だ?」
「社長に進言したら、マッチングアプリ専門でボッタクリを行う、シノギの方からホステスを回すとの事です。いくら、金持ちの青川の学生と言えども、プロ相手に無料でヤれるとなるば、喜び放題でしょう。ちなみに女は青川の金持ち学生とヤれて、金までもらえると聞いた時は狂喜乱舞していましたよ」
マッチングアプリで、男相手にヤクザがホステスを差し向け、美人局をして、資金を調達するというのは令和のヤクザの常套手段だ。
結鶴の中では女に過度な期待を抱いて、美人局に騙されるような男が悪いので、これは犯罪という認識は無かった。
「女はこれから、起こる惨事を理解しているんだろうな?」
「えぇ、学生を一人残らず、拉致、監禁、拷問して殺すんですからね? 金でどこまで、口を封じられるかが問題です」
「場合によってはその女も始末しろ。金で全てを決める、低能な女も同罪だ」
それを聞いた、宮崎は唖然とした表情を浮かべる。
「何だ?」
「若はヤクザの御曹司でありながら、意外と高潔な考えを持っているかと思っていましたが、中々に残忍な考えを見せることがあるから、気が抜けない。案外、ヤクザとしては魅力的とは言えますが、悪く言えば、一貫性が無いと言うか・・・・・・」
「二十歳そこらの学生に一貫性なんて言葉が通用すると思うのか? 日々、葛藤だよ」
「そういう大人びた発言もする時があるから、味方の我々でも考えが読めないんですよ。とにかく、ターゲットの学生は今、ウチの若いのが追っています」
宮崎は手が早いからな?
「宮崎、マグナムの用意をしろ」
「まだ、抗争の段階じゃないでしょう?」
「それでもだ。仮にも警察官僚の息子を殺すことになるかもしれない。即、抗争になるつもりで事に当たってくれ」
「・・・・・・社長も出るかな?」
「真木は葉巻の吸い過ぎだ。昔みたいに動けないだろう?」
「あぁ、見えて、未だに現役で行けるんですよ」
二人でそのような会話をしていると、真木がそこに現れた。
「若、バイクとベレッタを用意してあります。あと、拷問用具と監禁する場所と拉致をする、人員と車も準備万端。尚、作戦の概要は若に立てさせろと会長からの厳命です」
会長に試されているな?
ここまで、黒陽会本部が関心を払うのは刑罰会の背後に近畿黒陽会がいるからか?
どっちみち、大きなドンパチになるな?
「始めるぞ。ここから、戦争が始まる」
結鶴は寝不足の中で覚悟が決まった。
続く。
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