口うるさいミミックを相棒に転生先の世界で生き抜きます
弓園千尋
第一章 シホ、口うるさいミミックと出会う
第1話 自己紹介
秋。紅葉が美しいキャンパスで高等学院の入学式があったのは三日前。
新緑美しい季節に新学年が始まる国で暮らしていた記憶がある身としては、秋の入学は慣れないなあと思う。
そう、私には、今の人生とは違う人生を生きた記憶がある。多分、それは私の前世なのだと思う。想像力だけで作り上げたとは思えないほどディテールが細かくて、あれもまた現実だったのだと思うよりほかない。
私は前世、日本という国でそれなりの年齢まで生きて、働いて、どういう理由でか死んだ。
私が前世の記憶を抱えていることに気付いたのは、物心ついた頃だった。他の子たちと私は違うなあ、と思ったときに、自分の中にもう一つ別な人間の記憶があることに気がつき、ああそれで、と納得した。当時、他の子たちが間抜けに失敗してる傍で私はいろいろこなせていた。それはつまり、一度経験していたので、いろいろミスしないで済んでいたのだろう。
とはいえ、何の苦労もないというわけではない。今生きているの世界は、前世で暮らしていたのとは別な世界。いろんなことが違う。違う人生なんだから家族だって違うし。
誤解してほしくないんだけど、今の両親に問題があるわけじゃない。少なくとも毒親じゃない。前世で一度大人をやっていろいろ世間を見た身から見てそう思える。ちょっとお人好しかなあとは思うけど。
前の人生と全然違うのは、今生きている世界には魔法とか魔物とか、前生きていた世界では空想の産物と言われていたものが実在していること。
そして、貴族は魔法を、平民は魔素術を使うことができるということ。
平民である私も、魔素術を使えた。そしてそのことを知ったとき、私は思ったのだ。
今度の人生では、前の世界には存在しなかった魔素術を極めよう、と。
幸い私は、魔素術に才能があった。また、環境も良かった。小さい頃に住んでいた場所は魔素術の腕を磨くのにうってつけの場所だったから。そこを出た後も、父の仕事を手伝ったり親戚のおばあちゃんについて習ったりしながら、魔素術のレベルを着々と上げることができた。
結果、王都にある高等学院に入学できた。これで更に三年間、魔素術の勉強をすることができる。
そんな感じで、私はこの世界に転生した後は、概ね思うがままに生きてきた。まあ、嫌な目とか理不尽な目にあったことはあるけれど、まあ概ねはうまくやっていたと思う。
とはいえ、うまくいかないことはある。
私は今、そういうことに直面していた。
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