第6話 放課後の図書館
数日後、図書館は夕陽に染まり、棚の影が長く伸びていた。
なずなと影山はいつものように、謎解きに夢中になっていた。
「ここかな……」影山が指差すのは、
古い百科事典の間に隠された薄い紙片。
なずなは息をのむ。手を伸ばして紙を取り出すと、
それは図書館の創設者が残した暗号だった。
「こんなに小さな文字で……よく気づいたね」影山が感心して言う。
なずなは少し照れながらも、胸の奥が温かくなるのを感じた。
「影山くんと一緒だから……かな」
解読を進めるうち、二人の距離は自然と近づいていた。
肩が触れるたび、指先がわずかに触れ合うたび、なずなの心は静かに高鳴った。
「これで……最後の暗号かな」影山が静かに言った。
なずなはページを閉じ、影山を見上げる。
夕陽に照らされた彼の横顔は、いつもより少し柔らかく見えた。
「ありがとう、影山くん……一緒に解けてよかった」
「僕もだよ、なずな。君がいてくれて、助かった」
その言葉に、なずなは心の奥に小さな光が灯るのを感じた。
謎解きはまだ途中かもしれない。
でも、影山となら、どんな秘密でも乗り越えられる気がした。
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