第4話 初めての笑顔
ある放課後、図書館はいつもより静かだった。
窓の外に柔らかい夕陽が差し込み、埃の粒が光を受けて舞っている。
なずなは古い日記帳を手に取り、影山の隣でページをめくった。
「なずな、ここに……」影山が指を差す。
そこには古い手紙の切れ端が挟まれていた。
文字はかすれて読みにくいが、確かに意味があることは分かった。
「読める……かな」なずなは息をのむ。
文字を慎重になぞる指先に、心の奥が小さくざわめく。
影山はふと顔を上げ、なずなを見た。
「君は……読むのがうまいね」
その一言に、なずなは顔を赤らめる。
普段は冷静な影山が、笑顔を見せた瞬間だった。
彼の笑顔は柔らかく、まるで太陽が一瞬差し込んだような温かさを持っていた。
「そ、そんなことないよ……」なずなは照れながら答えたが、
胸の奥が少し跳ねた。
それから二人は黙々と手紙を解読した。
ページの端に隠された暗号を解き、日記帳の持ち主が残した
メッセージを一つずつ読み解いていく。
謎解きの合間、影山の笑顔を何度も見て、なずなは胸の奥に
わずかな期待が芽生えていることに気づいた。
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