第3話 快感
「さあ!陽キャの三人!僕をもっと殴ってくれ!僕の事がうざいんだろ?僕の事がキモいんだろ?僕の事が嫌いなんだろ?それなら遠慮なく思う存分殴ってくれ!!」
僕は両手を広げて三人に言った。
倒れ込んでいる拓巳くんは僕を見て怯えた表情になる。
「な、何だよ……お前は……」
「だから僕はただの陰キャだって」
ムーブをミスったせいでこの三人には僕の本性がバレてしまったかもしれないが、まだ大丈夫。
逆にこの三人を利用し、支配する事で口止めをする。
そうすれば僕の平和で平穏な陰キャ学園生活は守られるはずだ!
僕は倒れ込んでいる拓巳君の肩に手を置いた。
「拓巳君。僕の事、殴ってくれるよね?」
「う、うあああああー!!!」
ドガッ!!
拓巳君は立ち上がり、叫びながら僕の事を殴ってくれた。
しかし……。
「う〜ん。やっぱり君のパンチは弱いね。もうパンチや蹴りは無しにしよう」
僕はそう言って胸ポケットからある物を取り出した。
「今回は特別だよ?はい、これで僕の事刺して」
僕はそう言いながら小型のナイフを拓巳君に渡した。
「な、何だよコレ……」
小型のナイフを受け取った拓巳君は僕に問いかけてきた。
はぁ……。
「見れば分かるじゃん。小型のナイフだよ」
「な、何でこんなもん持ってるんだよ……」
「え?持ってる理由なんて特に無いけど?」
「……は?」
「ほら!そんな事より僕の脇腹辺りを刺してよ!」
僕はそう言って制服をめくり、脇腹を見せた。
「そ、そんな事できるわけ……」
拓巳君は僕のお願いを拒否した。
「さっきまで僕の事殴ってたじゃん!その感じで刺せばいいんだよ!ほら!早く!陰キャの僕が陽キャの君に刺されて出血しながら倒れ込む……。僕はこの、圧倒的にザコい陰キャムーブをかましたいんだよ!早く刺してくれよ!大丈夫!その小型ナイフなら致命傷にはならないからお遊び感覚でやってくれよ!!」
僕は必死に訴えたが……。
「む、無理に決まってんだろ……」
「無理ってなんだよ……。早くやれよクソ陽キャ!!てめえそれでも陽キャかよ!!」
カランッ!!
僕が拓巳君に大声で詰め寄った途端、拓巳君は渡した小型のナイフを落とした。
「……使えねー陽キャだな」
僕はそう呟いて小型のナイフを拾った。
拓巳君はもうダメだ。
コイツは陽キャとしてのプライドが無いらしい。
残るは紅也君と茶髪ギャルの二人だが……。
僕は二人の顔を見た。
どちらも怯えた表情をしている。
僕は二人の顔を交互に見て……。
「君に決めた!」
僕は茶髪ギャルに小型のナイフを渡した。
「……え?私……?」
「そう。君が僕を刺すんだ」
「な、何で私なの……」
「紅也君はさっきまで一応僕の事を殴ってくれたしね。でも君は何もしてないし働いてもらわないと……」
「そ、そんな……」
茶髪ギャルはさらに怯えた表情になる。
「ひ、人を刺すなんて……無理……」
はぁ。またこのパターンかよ……。
僕は茶髪ギャルの肩をガッシリと掴んだ。
「君、まだ名前を聞いてなかったね。名前何ていうの?」
「お、
「なるほどね。音葉さん。黙って刺せばいいんだよ!!!!!!」
僕は大声で叫んだ。
「あ、あ、あああああああああああ!!!」
グサッ!!
僕の勢いに負けて音葉さんは僕の脇腹を刺してくれた。
音葉さんは刺した小型のナイフを僕の脇腹から引き抜き、血のついたナイフの先端を見る。
「ほ、ほんとに……刺しちゃった……」
僕は音葉さんの肩に手を置いた。
「素晴らしいよ音葉さん!見てよこの血!!君がやってくれたんだよ!!」
僕は感動のあまり、刺された脇腹を音葉さんに見せた。
「ありがとう音葉さん!君は合格だよ!いじめの才能あるよ!」
僕は笑顔で音葉さんの事を褒めていた。
だがそんな時、音葉さんの口から思いがけない発言が飛び出る。
「ね、ねぇ。わ、私……アンタの……他の場所も刺してみたい……」
「え?」
僕は驚き、思わず声が出てしまった。
音葉さんの発言を聞いていた拓巳君と紅也君も驚いた表情を見せる。
「な、何言ってんだよ美穂!」
「お前どうかしてるぞ!」
二人の言葉に音葉さんが声を上げる。
「どうかしてるって事くらい分かってる!!でも……今コイツを刺した時……その……気持ち良いって思っちゃったのよ……」
「「……は?」」
拓巳君と紅也君はキョトンとした顔でハモった。
そんな中、僕は音葉さんの顔を笑顔で見つめる。
「さ、最高だよ音葉さん!次はどこを刺してみたい?遠慮なく言って!」
「じゃ、じゃあ……。ふ、太もも……」
「分かった!ズボン脱ぐのめんどくさいしこのまま刺しちゃっていいよ!」
僕はそう言って左脚の太ももを差し出した。
「あ、ありがと……」
そう言った音葉さんは躊躇なく小型のナイフを太ももに振りかざす。
グサッ!
ナイフが僕の太ももに突き刺さると、音葉さんの表情が歪んでいく。
「キ、キモチィ!!ギモチィィィ!!!ギモチィィィよー!!!」
音葉さんは歪んだ表情で叫びながら何度も僕の太ももにナイフを突き刺す。
グサッ!グサッ!ザクッ!ザクッ!
「ダメ、気持ち良い!!もっと、もっと刺したい!!」
僕の太ももは血塗れとなり、制服のズボンにも血が大量に滲み出ていた。
ああ。これだよこれ。
鋭利な刃物が自分の体内に入っていく感覚……。
最高だよ!!
僕が悦に浸っていると……。
「な、
「え?」
「お願い。生でやらせて……」
音葉さんの発言に僕はズボンを脱ぎ去り、まだ刺されていない右脚の太ももを差し出した。
「さあ!遠慮なく刺してくれ!」
グサッ!
音葉さんは生の太ももを見た瞬間にナイフを突き刺した。
「だ、だめ……。こんなの……。こんな経験しちゃったらアンタの事忘れられない!アンタの事好きになっちゃう!アンタ無しじゃ生きていけない!!」
音葉さんはそう叫びながら僕の太ももを刺し続けた。
最強陰キャの実力隠し〜陰キャなので身の程を弁えて実力を隠して学園生活を送ってたらいじめられました。最強なので平気ですがヤバい奴らに目をつけられました〜 士流 @supershiryu777
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最強陰キャの実力隠し〜陰キャなので身の程を弁えて実力を隠して学園生活を送ってたらいじめられました。最強なので平気ですがヤバい奴らに目をつけられました〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます