黒いカラスを折ってやれ!

青川メノウ

第1話 黒いカラスを折ってやれ!

クラスメイトのA子が病気で入院したので、家で千羽鶴を折って来ることになった。

私は正直イヤだった。

A子には、彼氏を略奪された、深い恨みがあるから。

未だに悔しくて、どうにも許せない。

「入院は因果応報よ。鶴なんて折るものか」

鶴の代わりに、一枚一枚憎しみを込めて、黒いカラスを折った。

「姑息な横取り女のアンタには、鶴よりカラスがお似合いよ。しばらく入院してなさい!」

呪いの念を折り込んで、四十九羽が完成した。

その夜、無数のカラスが、カアカア飛び回る不吉な夢を見た。

「呪いなんて、やっぱり良くないかも」

少し反省しつつ、折ったカラスをゴミ袋に入れて捨てた。

しばらくしたら、外がカアカアとやかましい。

見れば、家のそばの電線が、カラスで真っ黒だ。

四十九羽もいる。

「折り紙で呪ったせい?」

何日か経って、朝のHRで先生が言った。

「A子さんは亡くなったそうだ。手術は失敗だったらしい」

病院が停電したせいで、執刀医の手元が狂ったのだという。

停電の原因は、電柱に掛けられたカラスの巣とのこと。

カラスの群れは、それ以来ずっと私につきまとう。

まさか「人を呪わば穴二つ」なんてこと、ないよね。


関連小説 [舞衣の赤い糸] —— 少しふしぎ、少しコメディっぽいお話 ——

https://kakuyomu.jp/works/822139840862870806

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