第27話 派遣切りした奴に……

「君、明日から来なくていいから。代わりなんて駅前で募集すればいくらでも集まるんだよ」

​ 西園寺部長は、安物の葉巻を燻らしながら冷酷に言い放った。プロジェクトの成功はすべて自分の手柄、ミスはすべて派遣社員のせい。そんな彼が、コストカットという名目で私、佐藤を切り捨てたのは、クリスマスを目前に控えた凍えるような夜だった。

​「……分かりました。後悔しないでくださいね」

​ 私はデスクを片付け、静かにオフィスを後にした。しかし、西園寺は知らなかった。私が、彼が「ゴミ」と呼んで放置していた膨大なバックデータの管理を一手に引き受けていたことを。

 1週間後:崩壊の序曲

​ 西園寺の目論見は外れた。佐藤が去った翌日から、基幹システムに原因不明のエラーが頻発。さらに、最重要顧客である「ゴールドマン・ホールディングス」との契約更新に必要なデータが、佐藤の個人PC(という名の自作サーバー)の中にしかないことが判明したのだ。

​「佐藤を連れ戻せ! 今すぐだ!」

​ 西園寺の怒号が響くが、時すでに遅し。私はすでに、そのゴールドマン・ホールディングスの特別顧問として招かれていた。

 決戦:物理的な「ケツキック」

​ 運命の日は、業界の合同パーティーで訪れた。

会場の入り口で、泥酔し、取引先から出入り禁止を食らって警備員に引きずり出されようとしている男がいた。西園寺だ。

​「おい! 佐藤! 貴様、よくも俺をハメたな!」

​ 真っ赤な顔をして突進してくる西園寺。彼は私に殴りかかろうとしたが、足元に落ちていたカナッペのトレイに滑り、派手に宙を舞った。

​「あ、危ない!」

​ 私は反射的に……助けるのではなく、より「正確な方向」へ導くために右足を振り抜いた。

​ ドォォォォン!

​ 私のつま先は、無防備に突き出された西園寺の臀部の真ん中——いわゆる「尾てい骨」の少し下——に完璧なミートで突き刺さった。

​「ぐふぉぉっ!?」

​ 西園寺は人間とは思えない声を上げ、そのまま会場の装飾用噴水へとダイブした。バシャーン!という音と共に、彼の高価な(といっても経費で落とした)スーツは台無しになり、周囲からは失笑が漏れる。

 結末

​ びしょ濡れで震える西園寺に、私は冷ややかに告げた。

​「西園寺部長。駅前で代わりを探すのは、あなたの方だったみたいですね。あ、そのケツキックの治療費は、未払いの残業代と相殺しておきますから」

​ 翌日、西園寺は不祥事と業績悪化の責任を取らされ、懲戒解雇。

 一方、私は新しいチームと共に、最高のボーナスを手に次のプロジェクトへと歩き出した。

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