モラハラ夫との毎日
あゆすけ
第1話
モラハラ夫との毎日
今日の予定を立てろと言われた。
言われた通り、書いた。
「全然違う」
既に彼の中での予定は決まっていたのだ。
決まっているのに予定をたてさせていちゃもんをつける。
そのまま言い合いになり、
気づいたときには子どもが眠っていた。
出かける予定は、なくなった。
夫は言った。
「子どもを起こせ」
起こす理由も、
起こさない理由も、
どちらを選んでも間違いになる気がして、
私は動けなかった。
娘の部屋に、
スマホを持って入った。
「なにをするんだ」
そう言われた。
あとで知った。
親族に相談されると思ったらしい。
私はただ、
時間を確認したかっただけだった。
起こすかどうか、迷っていただけだった。
説明する前に、
疑われていた。
夫はゴミ袋をまとめはじめた。
ガサガサと、
娘が起きるような大きな音を立てて。
舌打ち。
大きなため息。
私たちの部屋のまわりを、
うろちょろし始めた。
入ってくるわけでもない。
何かを言うわけでもない。
ただ、そこにいる。
私が浮かない顔をしていると、
「そんな顔してたら、どこも連れて行きたくなくなる」
と言われた。
怒鳴られたわけじゃない。
でも、それは決定事項のようだった。
娘は眠っている。
私は息をひそめている。
時計を見た。
一時間、経っていた。
夫は、
まだ部屋の周りをうろうろしている。
何もされていないはずなのに、
体はずっと、緊張したままだった。
理由は知らない。
詳しく聞いたこともない。
ただ、
前にも、という言葉だけが
静かに頭に残った。
モラハラ夫との毎日 あゆすけ @ayunyan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。モラハラ夫との毎日の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます