第2話 実力差も気にしない。私はただ進むだけ

季節が変わるくらいまで歩く。次は、サクラという不思議な花が咲いている街だった。

初めて知った街だが、悪くない。しかしここも魔王侵略の1部らしい。それがやはり気に食わないな。敵は11時の方向に6人、って所か。

もうすっかり慣れた魔力検知でそっちの方向に足を進めた。が、油断してたのか後ろからナイフを突きつけられる。

「…はぁ。誰だ?」「えお姉さんちょーかわいーんだけど!?もーっ!聞いてた話と違うじゃん…。クソ勇者が来るとか聞いてたから服適当に選んじゃったじゃん。」

警戒しながら問うと、斜め上の回答を頂いた。明るく、甲高い声が耳元に響く。

「あまり私の容姿を可愛いと思ったことはないが、ありがとう。で、素敵なお嬢さん、貴女の名前は?」慣れない口説き文句のような聞き方をしてしまった。

「えーっ、素敵なんて照れるなぁ…。私、モネ!お姉さんは?」小さく、シェリアス。と呟くと彼女は「んーとじゃあシェル!よろしくねっ。」と友好的に接してくれた。

この機会を逃す訳には行かない。「モネ、首元のナイフを退けてくれないか?」「あっごめんね!シェルは何しにこんな辺鄙な街まで来たの?」

「…魔王討伐、とでもいう具合だ。そうだ、この辺りの地図とか持っていないか?」地図とか無いかな、と期待を抱きながら聞いてみると、モネは魔王討伐を聞いた時点で武器を再度構えるモネ。

ドクン、と心臓が大きく脈打つ。驚きが顔に出てたのか、「あははっ、シェルったら怖い顔。そんな顔しないでよぉ。簡単な事だよ。なんだっけ、イセカイから来たやつ。カクバクダン?3つ分ぐらいの強さがあるらしくて。辺り一帯平地になるぐらいらしいの。それに、私の師匠も…ね。」と説明してくれた。…魔王、そんな強いのか。

「勝てないとしても、私は立ち向かう事に意味があると思う。挑戦した、その事実だけでも得られるなら私は死んでもいい。」

そう宣言すると、モネは信じられないと言った表情をする。「そう。シェルはもっと自分を大切にすべきだよ。あ、そうだ。私と勝負してみない?模擬戦をして私が勝ったら命令を聞いてね。シェルが勝ったなら好きにしたらいいんじゃないかな?」

「ああ、いいだろう。モネに勝てないようなら魔王なんぞ夢のまた夢だろうしな。じゃあ、明日の10時。ここでまた集合して決戦をしようではないか。」

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