食材が豊富な異世界に転生したのでスローライフしながら世界を平和にします
こけっこサン
第一章 魔王
第1話
「わぁー」
いきなりトラックに跳ねられた。おいおい、どういう事!?
うぅ…。視界が真っ暗になる……。
「あー、死んだな…。」
死を覚悟する。
俺はコク。料理しか取り柄がない人間だ。
そして今、料理トーナメントの会場に向かうところだったのに……!
「優勝、したかったなあ…。」
その言葉を最後に俺は動けなくなった。
目を開けると綺麗な青空が広がっていた。
病院ではない、風が吹いている。どうやら屋外のようだ。
「おいおい、人轢いて放置かよ……。」
でも、何かがおかしい。さっきまで地面は固いアスファルトだったはず。
しかし今、背中に感じている感触は柔らかな大地だ。
「んん…? 痛く、ない…?」
どうやら俺は転生したらしい。こういうのは読んだことある。
「でもどうすっかなー。マンガみたいにうまく進むもんじゃないだろうしさあ。」
すると近くに村が見えた。いや、うまく進んでんな。
「ま、村行ってみるか。ほかにやることねーし。」
なぜか村には活気がなく、村人たちはすごく痩せていた。
おいおい、どういう事だよ?食料不足でも起きてんのか?
「あ、あのー、旅の者(仮)なんですが…。」
そしたら村の奥から村長?長老?みたいな人が出てきた。
「あぁ、勇者様…。助けて頂けないでしょうか……。」
え、勇者?勇者って言った? まあこういう展開で勇者になるパターン多いけど!
「い、いやあ、ただの通りすがりなので…。失礼しましたぁ」
そそくさと去れるかな。
「いえ、そんなこと言わずに。」
まー、駄目だよな。お決まり展開ルート突入だぜ。
「はぁ…。ど、どうされたんですか?」
一応話聞くだけ聞こう。無理そうだったらバックレるわ。
「魔王、魔王がこの村に嫌がらせしてて…。」
うん?嫌がらせ? いやそういうのは普通支配しようとしてるとかじゃないんすか?
「え、あ、えー?」
「冷蔵庫の物がすぐ消えるんです…。」
うわ。結構困るやつだ。俺はいつも自炊だからなんとなくわかるけど、使いたい食材が消えると困りそうだよね。
「しょ、食材がないと料理できないですもんね。」
「いえ、料理が消えるんです。」
あぁ。なるほどね。まあ要するに魔王が料理を勝手に取って食べてるわけか。
「この間なんて村の子供たちのバースデーケーキ以外全部取られたんですよ!!!何とかしてくださいよ勇者様!!」
あ、ケーキは取らないのね。ふーん。
まあでも俺も料理作る人間だからなあ。後々取られたら困るしなー。
「よし!その魔王ってやつ、俺が倒します!」
すると村長は?みたいな顔して言ってきた。
「いや、倒さなくていいです。」
は?いやどゆこと???
「えーと?どういう事ですか?」
「いや、言葉の通りですよ。倒さないでくださいよアイツ根は良いやつなんですよ」
おいおいまじかよ。倒すなって何?根は良いやつなの????
「倒さないで、和解してくださいよ。」
あー、まじ?お決まり展開ルート回避やん
「は、はい…。とりあえず準備してきますね……。」
俺は村長さんに借りた小さな家のソファで考える。
和解って何?料理取るのは悪質だよ?ちょっと懲らしめてもよくね?
まあバースデーケーキを取らないでくれるのも根がいいやつだからか。
とりあえず会ってみないとわかんねーよな。
「グ~~~」
あ、腹減った。幸い食材は村の人に貰っている。簡単な食事なら作れるだろう。
そうだ。鶏肉?を漬けていたんだった。
アレを作ろう。
油を熱して、鶏肉?の表面にに片栗粉を軽く付ける。
熱した油に入れて…、揚げる!!
いい感じの色になってきたら、バットかなんかで冷ましておく。こうすると余熱で火が通るからね。
そのうちに全部揚げちゃおう。
あ、いい感じ。そしたら冷ましておいたやつを、サッと揚げる!二度揚げだ!
いい感じにお皿に盛り付けたら…
「完成!鶏肉?のから揚げだ!」
おいしそう。異世界の材料でも現世の料理はできるんだなあ。
「いただきまーす。」
早速一つ目を口に入れようとしたその時ーーーーー
「それ 頂戴」
顔をあげると目の前には人間みたいな見た目の女性が立っていた。
赤い髪からは大きなツノが覗いている。
「ま、魔王……。」
そう、こいつが魔王だ。村の人たちから聞いた特徴通り。
「それ 頂戴」
もう一度魔王が言う
どうしよう あげるべきなの?、これ
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