<詩集>地上の残響者へ

ホショミ

第1話 声





忘れていないこと

あの優しくきらめく

貝殻の奥から響く 音 ネイロ


誰もみてないから

ひとり

静かだった

図書館の隅で

流した涙は

とっくに

乾いたはずなのに

いま こんなにも

せつない


耳元に残る

残響を背後にして

生きる声を振るう



この地球に残された者たち


さぁ

旅立ちだ



君のゆくまで ぼくは声を溶かす

明日の光は希望だ


眠りから覚めたなら

君の魂が微笑んでいるよ



砂に紛れた痛みの破片を

波にのまれた仲間のかなしみを


ぼくは

図書館に返すよ


あの

秘密基地への入り口は

地球に残された者しか知らないからね

だから大丈夫

君を

君の涙を

無駄にしない

声の持ち主が

その光を引き伸ばして

金木犀きんもくせいの漂いに包むよ







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<詩集>地上の残響者へ ホショミ @kumayu23

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