ハロー・ワールド

scorpion

第1話 今日は静かな日らしい ➀

太陽が黄金の光を放ち、温かい光が家の窓に反射している。


小さな体に心地よい熱が流れ、汗の滴が頭から頬を伝い、普通の状況では考えられない速さで地面に落ちていくのを感じる。


その理由は明白だ…その瞬間、体が数センチ浮き上がり、額は上から落ちてくる円形の物体を迎える準備をしていた。


円形の物体はほぼ一定の速さで近づき、心臓は高鳴る。


距離は遠く見えるかもしれないが、一瞬のうちに縮まった。


衝突。


ヘディングシュート。


説明するまでもないかもしれないが…念のため言っておこう。


僕は裏庭でサッカーをしていたのだ。


ボールは確実に、ゴールのようなもの――積み上げられた石の柱の間――に向かって進む。柱の間にはプレイできる十分なスペースがある。


ボールはスムーズに柱の間を通り抜けた。


「ゴーール!」


両手を高く挙げて、歓喜の声を上げる。


「アラタ、ご飯よ。」


女性の声が僕の盛大な祝勝を遮った。柔らかく、優しい声…母の声だ。


「今行くよ!」と元気よく答える。


「お兄ちゃん、すごい!」


その小さな可愛い声に、胸が喜びで躍る。


声の主は母のすぐ後ろに隠れていた小さな女の子。長い金髪が背中で光り、青い瞳は晴れた空の色のようで心を落ち着かせる。頬はマシュマロのように柔らかいピンク色。


妹のひまりだ。


「ひまり、さっきのジャンプ見た?お兄ちゃん、すごいだろ?」


「うん、お兄ちゃん、すごい!」


「うんうん…もっと褒めて!」


「お兄ちゃんは最高!」


彼女は軽く笑った。


「ああ、ひまり…お前がこうやってお兄ちゃんを応援してくれると、抱きしめたくなるな。こっちにおいで!」


僕は裏庭で彼女を追いかけて走った。


「野獣なお兄ちゃん!」と彼女は笑いながら逃げる。


そしてまた母の声が響く。


「遊ぶのはやめて、食卓に来なさい。お父さん、お腹がぺこぺこよ!」


ついに父が帰ってきたのだろうか。


父は小麦と米の農業をしていて、畑の近くに小屋を持っている。


仕事が遅くなると、夜までそこに泊まることも多い。日本の田舎の夜道は、交通手段も少なく、野生のイノシシも出るので危険だ。


しかし、今回は早めに帰ってきたようだ。


僕たち三人は食卓に向かい、父は用意された食事を前にして、スプーンを握りしめ、食欲を隠せない様子で座っていた。

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