全員ゼロ距離。

ひらひら

まえがき

前作の短編「名前のない距離」は、紗季の恋を描いた物語でした。


本作では主人公を悠斗に移し、紗季と結菜、そして悠斗との関係の続きを、それぞれの視点から描かれるエピソードや番外編を交えながら、少し賑やかなラブコメとして綴っていく予定です。


少しずつ書き進めていきますので、気長にお付き合いいただけましたら幸いです。


前作を読まれていない方のために、下記にあらすじと登場人物の紹介をまとめています。物語の背景や、彼らの距離感をより身近に感じていただくための手がかりになればと思います。


■ 短編「名前のない距離」のあらすじ ■


幼い頃から、三人はいつも並んで過ごしてきた。


紗季さき結菜ゆいな、そして悠斗ゆうと。当たり前のように続いてきた時間は、紗季の「好き」という言葉をきっかけに、少しずつその形を変え始める。


悠斗へ想いを伝えながらも、その先へ進めずにいる紗季は、“恋人”ではない曖昧な距離で彼の隣に立ち続けていた。結菜もまた、区切りをつけたはずの気持ちを残したまま、変わらない三人のかたちに安堵していた。


そんな均衡の中に静かに入り込んできたのが、悠斗の後輩・うただった。着実に悠斗との距離を縮めていく、そのまっすぐな想いは脅威でありながら、同時に結菜にとっては、紗季と悠斗の関係が決定的に進んでしまうのを引き止めてくれる存在でもあった。


詩の変化に気づいた従姉妹のみやびは、彼女の片思いの相手を探そうとする中で、ふとしたはずみで悠斗にキスをしてしまう。雅の姿は紗季と驚くほど似ていた――相手を紗季だと思い込んでしまった悠斗、自分に向けられる視線が次第に熱を帯びていく理由が分からず戸惑う紗季。一方で、詩はあることをきっかけに、本当の相手が雅だったことに気づいてしまう。小さなすれ違いが、悠斗と紗季、そして詩との関係をぎこちないものにしていく。


満員電車での事故を装い、紗季と悠斗にキスをさせて、すべてを丸く収める――結菜の大胆な企みは成功する。その過程で、結菜と詩のあいだには奇妙な仲間意識が芽生え始めていた。


■ 物語の登場人物 ■


榛名はるな 悠斗ゆうと


紗季と結菜の幼馴染。紗季への好意を自覚しながらも、曖昧な態度を重ねてしまっている。彼の優しさが、周囲の関係を揺らす理由になることを、本人はまだ自覚していない。


たちばな 紗季さき


静かで思慮深い、結菜と悠斗の幼馴染。感情を表に出すことに慎重すぎて、好きも迷いも、胸の奥にしまい込んでしまう。悠斗への想いを言葉にしたあとも、その先へ進むことができない。結菜への想いと恋心のあいだで揺れながら、“選ばれること”を先送りにしてしまっている。何かを守ろうとする想いが、そのまま自分を縛ってしまう――静かな葛藤を抱えながらも、少しずつ前へ進もうとする、この物語のヒロイン。


空木うつぎ 結菜ゆいな


明るく感情表現が豊かな、紗季と悠斗の幼馴染。感情を隠すのが少し苦手で、好きも悔しさも、そのまま顔に出てしまう。悠斗への気持ちを手放せないまま、それでも紗季のことが何よりも大切で、笑顔のまま自分の立ち位置を探し続けている。誰よりも正直で、誰よりも不器用だから、最後には、誰かの背中を押すことを選んでしまう――そんな優しさと強さを併せ持つ、もう一人のヒロイン。


月凪つきなぎ うた


悠斗の後輩。悠斗への想いを隠すことなく、着実にその距離を縮めていく。強く求めることはないけれど、簡単に退くこともない。誰かを押しのけることなく、それでも、気づけばそっと入り込んでしまう――ひたむきな眼差しのその奥に、揺るぎない想いを秘めた、三人目のヒロイン。


月凪つきなぎ みやび


詩の従姉妹。彼女の変化とその想いの本気を、誰よりも早く察していた存在。髪を高い位置でまとめると、紗季に驚くほどよく似ている。輪郭や佇まい、ふとした仕草まで重なるのに、似ているようで、決して同じではない。この先、詩の味方になるのか、それとも、新たな波紋を生みだすのか――まだ答えを持たないままの、四人目のヒロイン。





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