矛と盾 愚か者たち
桃月兎
第1話 発端
諍いごとを戦争や戦闘で決着を付けるのは、人命が多く失われるので非人道的行為である、愚か者のする生業だ、との声が惑星内全地域で高まった。今後は戦闘行為や戦争の代わりに、矛と盾をぶつけて勝敗を決着する取り決めがなされた。スポーツで優劣を決める案もあったが却下された。
世界の各地で矛あるいは盾を開発する組織が設立された。
小学生たちの会話。
「矛と盾でどっちかを強く改造するんなら、俺だったら盾を選ぶよ。だって盾は横に広くして、縦を長くすれば良いんだから」
「それだと防御力として意味がないよ、厚さを物凄く厚くした方が効果的だよ」
「逆に縦横よりも厚さのほうが長かったりして」
小学生の会話を近くで偶然話を聞いていた大人達。
「盾の縦横よりも厚さの方が長かったら、それはもう、厚みを高さと呼ぶべきじゃないのか?」
「そうかも。そうなるとバランスが良いのが正六面体だな、サイコロの形状の。あれなら、ある意味、縦横厚さ全部が等しいな」
普通の大人が気付いたと言う事は、他の誰もが気付いたのと同意義である。
盾は正立方体にしよう思想が世の中に広まった。
個人的な趣味で盾の設計をする人物が気づいた。
「同材質同質量の矛と盾なら、盾の方が目茶苦茶圧倒的に有利です。盾はどんだけ重く厚くしても持ち上げる必要はないんですから。極端な話、盾は地面に突き刺して置いておけばいいんですから」
結果、矛と盾では、盾を選んだ方が割が良いと情報が広まった。
大勢の人々は、材質についての研究を始めた。金属を合成させるとより強い金属がうみ出されることが発覚した。
各国の政府が主導で、世界の各地に競うように、金属生産工場が建立した。山や森林、野原を破壊し、工場は設立された。
一部の人間は戦争ではないのに特需だと思い歓迎したが、別な一部の人間は愚かな行為だと怪訝した。
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