10. 影で見つめる目
静まり返った広場を、建物の陰から見つめる視線があった。全身を灰色のローブで包んだ小柄な男。《殻狩人》の情報屋、通称「
彼は手元のメモ帳に、震える手で何かを書き殴っていた。
「……計測完了。対象『強制の静寂』、侵蝕深度──レベル3へ移行中。戦闘行動なしでの広域展開を確認。……これは急がないとマズいぞ」
帳簿鬼は、冷や汗を拭った。彼らの組織の目的は「人類防衛」。三魔殻のような危険すぎる遺物を管理・封印することだ。だが、グラードの進化速度は想定を超えている。
「ソルガとノマドをぶつけて消耗させる作戦だったが……逆に『静寂』を肥大化させちまったか。こうなれば、次は『共鳴』で自滅させるしかない」
帳簿鬼は懐から通信機を取り出し、短い暗号を送った。宛先は、次の目的地──
「餌は向かった。……最大の地獄を用意して待て」
男が姿を消すと同時に、街には再び騒音が戻ってきた。だが、グラードが通り過ぎた道だけは、いつまでも奇妙な寒気が残り続けていた。
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