探偵少女

Zeta-P

白い粉殺人事件

 とある実験室。テーブルには飲みかけのティーカップと、近くには白い粉が散らばっている。その下には男性が倒れていた。



「これは殺人事件ね!みなさん!現場には近づかないこと!」



 少女は左手でお気に入りのベレー帽のツバを掴み、深く被った。右手の虫眼鏡で死体の近くをくまなく調べる。


「この死体は、まだ暖かいわね。」


 少女探偵は死体をペタペタと触ると椅子に登り、テーブルを調べる。



「クンクン。これは飲みかけのコーヒー……。花のような甘い香りが特徴的ね!」


 少女は虫眼鏡を周囲の粉に近づけた。



「死因はきっとこれね。」


 ポケットから透明パックを出すと、粉をササっと中に入れる。そして指に付けて、舐めた。



「ペロッ……これは……!」



 少女はハッとした表情をする。


「何これぇ!甘い!甘いわぁ!」


 口の中をとんでもない甘味が走る。

「み、水!誰か!水を頂戴!」


 アシスタントの女性が急いで水の入ったコップを渡す。


「甘い!水も甘いわ!きっとこれは組織の犯行よ!甘党の仕業だわ!」


 少女が騒いでいると、死体がむくりと起き上がる。

「ははは、これはソーマチンと言ってね、砂糖の3000倍は甘いんだよ。うっかりたくさん食べてしまってね。びっくりして気絶してしまったんだ。」


 死体は少女を椅子から降ろすと、実験ショーを再開した。


 この町は今日も平和だった。

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