宇宙時代の出世事情
明智 昌宏
第一話 貴族庶子女の婚活事情
プロローグ:レジン・ビークル
俺は、読了した本を閉じると、軽く息を吐き、シートに深く沈みなおした。
周りからは「本読み」と馬鹿にされながらも、頁を捲る感覚が好きで、本を取り寄せては空いた時間を見つけて読みふけっている。 立身出世物の物語を好んでいて、この国の初代王の伝記なんかは特に、歴史の経過は知っていても、心躍るものがあり何度も読み返している。
だが、今日読んだ本は少し違って、珍しく手に入った「母星グランの崩壊」という歴史書だった。 こちらも歴史の経緯自体は常識レベルなので読まなくても知っていた。結末も、ノスタルジーを覚えなくもないが、まあそれなりだ。
しかし、興味深い気付きもあった。
1万年の歳月の中で「常識」がこんなにも変わってしまった、ってことに。
「本読み」なんてのもそう。『種』を使ってないってだけで、紙を繰ってりゃ「異常者予備軍」か? おかしなもんだ。
それに……俺には必要なことだ。 いつかこの場から先に進む、その為のヒントが、行間に散りばめられているから。
まあいい。 もう一度俺は息を吐くと、シートに座りなおして、軽く身体に魔力を纏わせた。
戦闘時に使う「身体強化」だ。
魔素が軽く身体から飛び散ると、それに引き寄せられて、術者にしか見えない光の点が数個、俺の周りを舞った。
「妖精」だ。
「そろそろ近いと思う。次も頼むぞ?」 聞こえているかもわからないのにそう呟くと、聞こえないはずなのに「まかせて!」と幻聴が響いた気がした。
魔法を止めても、戦場で使う癖が抜けきらず、普段は他人に見せない獰猛な表情のまま、俺は嗤った。「そろそろ、そろそろだ……」
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