「カクヨム11お題フェス卵」人工子宮
未来ミキ
第1話 人工子宮
「ねぇ、修君さぁ、前から子供欲しいって言ってたわよね?」
咲ちゃんと僕は、結婚して3年になる。僕の親からは、孫の顔が早く見たいと言われていた。
「でも、咲ちゃんがまだいいって言ってたじゃん」
咲ちゃんの仕事は大手薬品会社の研究職で、僕より年収は上だった。
「今のニュース見たでしょ?」
二人で朝食を食べながら、朝の情報番組を見ていた。
「何?」
「ほら、人工子宮のニュースよ」
「あー、男の腹でも育つ着床卵の事?」
ニュースで流れて来る事故や熊被害、エンタメ情報などは、自分に直接関係ない事だと思っていた。
「そう、それ。私の卵子と修君の精子で人工授精して修君のお腹で育てるのはどうかな?」
「僕が?仕事だってあるし…男がお腹が大きくなるのは恥ずかしいよ」
「私だって仕事しているし、今やっている研究を途中で引き継ぐ訳にはいかないから…」
話し合いの結果、咲ちゃんより年収が低い僕が、人工子宮を入れて卵を育てる事になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「咲ちゃん、今、赤ちゃん動いたよ」
「本当だぁ~名前どうしよう」
「帝王切開でも陣痛はあるんだよね?」
「産道がないから帝王切開になるけど、多分あるんじゃない?」
男性で腹が出ている人は多いが、ビール腹か妊娠した腹かの区別は付かないので、思っよりも恥ずかしいとは思わなかった。
今は、無事に産まれてくる事を願うだけである。
羊や鯨での人工子宮の成功例はあるらしいが、人間の男性での成功例はまだ無い。
今迄は、倫理的に禁止されてはいたが、昨今の女性の社会的役割、少子高齢化問題の解決策として、政府は男性でも出産してもらう方が男女平等との事で議決された。
「カクヨム11お題フェス卵」人工子宮 未来ミキ @milaimiki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます