第2話 奴隷を買うなんて終わってる!
惑星『ペリドット』多種族が共存し発展していると共に慈善団体や犯罪組織などが、多く存在する。
『クローバー』が所属する組織もここを目にかけているらしい。
それと同時ここでは比較的簡単に人身売買や薬の販売が横行していると。
大体はキャラストを見れば分かる。
「奴隷を買いたい。」
目の前の男は四人、屈強な男は三人と一人の小綺麗な男。
「はっ?なんだお前。」
人身売買を営む人道から外れた者達、ストーリーでの場所を覚えていて良かった、でなくては調べるのに多少時間がかかっていただろう。
そして一応シュガーの持つ高貴な身分を晒すわけにはいかないため。変装の為に黒衣を羽織り、変声機を使い声を変えた。
これで身元は割れない。
「金はここだ。」
持っていた鞄を開け目の前の男どもに見せると明らかに目の色を変えた、金塊にダイヤの指輪。
シュガーが所有していた財宝の数々、今の私には必要の無いものだ。
「いいぜ、案内してやる。」
何かを企んだひそひそ話をした後、捕食者のようなニヤリとした顔を晒して一人の男が言う。
早くして欲しい、今の私は暇ではないのだ。
「早くしろ。」
洞窟のように広がる下水道、本当ならこんな不衛生な場所は私は好まないのだが、オークションなどの人が大勢集まる場所はゲームの登場キャラクターに会ってしまう可能性がある。
それは絶対に逃れるべきだ。
ミシミシと岩の上を足音がする。
私の後ろには男が一人、横に二人、目の前に一人、まったく。
「あまり近付くな、穢らわしい。」
そう言うと少しだけ距離をとってはくれるが、離れる様子はない。
まぁそうするだろうなと溜め息をついた。
人気のいない、行き止まりの道。
非常に不快だ。
「捕まえろ。」
非力な男の声と同時に動いた横にいた男の足を引っ掛ける。
そして手に持っていた銀の鞄で此方に走ってくる男の顔面を殴りつけ、後ろを狙ってきた男に重い鞄を投げつけ戸惑った所に飛び付き転ばせ、最初に転ばせ立ち上がった男に地面にばらまかれた金塊を頭へ浴びせた。
残りは一人、戦闘は出来なさそうな非力な男だ。
「すまない、興奮してしまってじゃれついてしまったようだ。
だがそちらも乗り気で安心したよ。」
一言一句真顔だ、この身体表情筋が固すぎるな。
だが、この男もこの男だな。
目の前の男、覚悟ガンギマリみたいな顔している。
「やはり調査員か、俺を捕まえたところで情報は一切吐かないぞ。」
「奴隷を買いたい。」
はっ?、そんな声が聞こえてくる。
それはそうなるだろうな。
黒衣で顔を隠して男どもを倒しておいて要望が奴隷を買いたいなんて、まだ捕まえたいの方が信憑性がある。
「嗚呼なるほど、高貴な家の奴か。
残念だが顧客登録していないと奴隷は買えねぇ、それがルールだ。」
奴隷を買いたいなら個人情報を握らせろ、そう考えるのは当たり前だ。
何せこれは法外の取引、バラされた場合すぐに牢の中。
そのリスクを客にも背負わせ、バラされないようにする、だがストーリーを知っている私は例外を知っている。
「『ペリドット』、君の主はさぞこれを欲しがっているだろう?
ならばこれを主に渡せば、より甘い蜜を吸えるんじゃないか?」
太陽の石とも呼ばれた宝石、それはこの奴隷商の主が心のそこから欲しいと願う石。
「そんなの……お前のことをあの方に言えば。」
「良いのか?当然犬が情報を持って行けば主は喜ぶ、報酬も貰えるだろうな。
だが、犬が実物を持って行ったとしたら……ふふ、それはもう歓喜して甘い甘い蜜を吸わせてくれるだろうな。」
嗚呼もちろん、渡すのは地面に散らばる宝だ。
そう言うと、男は揺れる。
先のストーリーを知っているというのはこんなにも便利なのか。
嗚呼もちろん『ペリドット』は私が元々所有していた訳ではない。
蓬莱者が古い店で手に取る筈だった『キーアイテム』を先にいただいただけだ。
非力な男は後ろの三人に入り口を監視しろと命じ、三人は去る。
私と男と二人きりだ。
「良いだろう。こい。」
さっきとは違う場所に案内される。
非常に不衛生な空間すぐにもお風呂に入りたくなるそんな環境で、ぼろぼろの男、倒れた女、怯えた少女、多くの奴隷が入った檻が並べられている。
「欲しい奴隷の特徴は。」
「オレンジ髪で紫の眼をした青年は居るか?」
出来るだけクローバーに似た男がいい、そちらの方が好みだ。
「今はいない。だが幼児なら居るぞ。」
ここだ、と指をさされた檻の中。
幼い5歳ほどの私の言った特徴と合致した倒れ込んだ幼児がいた。
「趣味が悪いな。」
「奴隷を買うようなお前には言われたくない。」
ぼろぼろで殴られた形跡もある。
「体罰か?」
「抵抗してきたから躾たんだよ。
今も強気で、触ろうとしたら噛みついてくるぞ。
買うか?」
「ふむ、まぁその子でいい。
開けろ。」
要望と一致しているし噛まれても構わない。
庇護欲と母性を勝手に埋めるのに本人の意思など正直どうでも良いからな。
痕が出来たところで私に恋人が出来ることはないのだから気にしなくてもいい。
男が檻を開ける。
中の幼子は音に気付き震えながらも警戒しているようだ。
「こい。」
そう言っても来そうにない幼子を仕方ないと抱き上げて抱える。
「暴れてるぞ。」
「構わない。」
その後は暴れる幼子を抱えながら男に『ペリドット』鞄を押し付け、別れてから人気のない場所へ戻り着ていた黒衣で幼子を包んだ。
ばたばたと中で暴れている、口をふさいでおいて良かった。
「匿名で通報しておくか。」
あの奴隷達はこの後はオークションで売られる運命なのだろう、原作は次のオークションで売られた者達は直前に訪れた蓬莱者によって救われていたが、今回のオークションの者達は救われることはなかった。
私が変装して入って居なくてもどうせ情報はバレるのだ、早いか遅いか、ならまだ早い方が救われる奴が多い。
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「近付くな…!!!」
「先にお風呂に入るべきだと言っているだろう。穢らわしい。」
私は家に帰ったらすぐにお風呂に入る派なのだが幼子は近付くなと聞かない。
「入るぞ。」
「来るな!!」
黒衣で包んでいたのをお風呂場で解放した為、すぐに入れるとたかをくくっていたのだがもう三十分以上も話している。
もう流石に限界だ、身体が気持ち悪い。
「お前……!」
服を脱いだ私に対して幼子は服を脱ごうとはしない。
こうなったら無理矢理だ。
「脱がせるぞ。」
「やめろ!」
服を脱がせ、シャワーで洗って湯船に入れさせたが。
幼子は警戒し、私から離れていた。
幼子と交わるような気持ち悪くて不快な人間ではないし、なりたくもないが。
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「後は勝手にしろ。」
「……ふん」
幼子に小さい服を着せて、そう言い放つが。ぐ~……そんな音が鳴り見過ごせない。
音の元は彼ではない、私だ……見苦しい…
「食事にするか……」
「……」
そう言っても何も言わない幼子を気に留めず、食事を作ろうとするが。
なんだ、この器具達は……
とげとげ、ぶるぶる、しゅるしゅる。
こんな奴ら普通料理に必要か?
そんなに手間をかけて楽しいのか?
料理など焼いて湯がいて調味料をかければ終わりだろう?
それともこの世界の調理法なのか?
ちらりと幼子に目線を向ければぷいっと目線を逸らされてしまう。
さすがに幼子に料理をさせるのは駄目か……
「……難儀だな……」
結局ある食材を焼いて調味料をかけただけの料理を出す。
そもそも曖昧にしか食材を覚えていないため美味しいかも分からないが。
「……」
「食べないのか?」
自分で食べた感想は食べれなくもない。
幼子の前の皿にご飯を盛り付けて置く。
しかし、幼子は食べようとはせず俯いている。
そういえば異世界漫画で奴隷が床で犬食いしていたのを見たことがあるが、それか?
だが私、一応軽度の潔癖症だ、幼子にさせようとしたら先に私の本能が暴れるだろう。
家まで着せていた黒衣を床に置いておこうとしたら本能で死にたくなった。
「……なんだよっ」
「口を開けろ。」
食べないなら食べさせるしかない。
身を乗りだしスプーンで掬った料理を、腕で抵抗しながら俯いていた幼子の口に差し出す。
そして驚いた、
「泣いてるのか。」
幼子の顔からぼろぼろと涙が流れている。
さっきまでハリネズミのように敵意を向けていたというのに、今では弱った子猫だ。
「…食べろ、落ち着くぞ。」
別に構わない。
幼子が何に泣いていても。
私の思い通りにすれば良いだけだ。
泣きながら幼子はスプーンに乗ったご飯を食べる。
「おいしくない……」
不味い不味いと泣きながらもさっきのような抵抗はしなかった。
涙がご飯に混ざる、それは美味しくはないだろうな。
ただされるがままに、力が抜けたように泣いている。
「おかあさん……」
呟かれた言葉を合図に幼子は固く口を閉ざしてしまった。
奴隷として売られていたということはこの子の親も消えたか、売られたか。
だか、あそこにはこの子に似た見た目の者は居なかった。
「君が大きくなったら探しに行くといい、だがその為にはどれだけ不味くても食事を取れ。」
その言葉を幼子は信じられない目で見ていた。
だけどこれは勇気付けの言葉でも慈悲の言葉でもないただ。
この幼子の見た目のクローバーに似なかった時、私はこの子を代わりにはしなくなる。
あくまでこの子は『クローバー』の代わりなのだから、代わりにならないなら勝手に何かをされてもどうでもいい。
「……へんたい……」
「幼児体型に興味はない。」
終わってる恋をするなんて終わってる! 不憫な紫 @8961
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