プロローグ
「あなたは生きなさい、リズ」
そう言ったラフェリアの笑顔が、リズの瞳に映る。
それは――最期の記憶。
行かないで。
行かないで。
私を、独りにしないで。
涙が零れる。
リズの蒼い瞳から。
「あなたは独りじゃないわ。
風〈ウィンディア〉も、
海〈シーア〉も、
雪〈スノーウィ〉も……
地球〈アース〉もいるわ」
どうして微笑むの?
どうして泣かないの?
どうして、哀しそうじゃないの?
ラフェリアは微笑っている。
泣いているのは、リズ。
泣いているのは、リズのほうだ。
「泣かないで。
私は、自分の意志で
ウィンディアに『生命』を託すの」
ラフェリアの温かい手が、リズの頬に触れ、伝う涙を拭った。
――不思議な呪文。
ラフェリアの能力が、
リズの意識を眠りへと誘う。
遠のいていく。
眠ってしまう。
イヤなのに。
眠りたくない。
ラフェリアを行かせたくない。
眠らせないで。
それでも、
ラフェリアより力の弱いリズには、
どうすることもできない。
眠りが、すぐそこまで来ていた。
それだけ。
意識が、
記憶が、
ゆっくりと消えていく。
「ごめんね、リズ……。
私は、あなたのことも大好きよ。
でも……ウィンディアに生きてほしいの。
ウィンディアを愛しているから……
お願いね……
ウィンディアを……
アースを、守って……」
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