雨とカフェ

haru

第1話 雨にも負けず、カフェにも負けず

突然の雨。

彼は、とある店の軒先に避難した。

向かいには、二階席もあるカフェが建っている。


そのカフェの軒先に、女性が駆け込んできた。

彼女はコートについた雨を軽くはらい、少し屈んで空を覗く。

前髪に手をやり、整えるように触ってから、カフェの方を向いた。

ウィンドウを鏡代わりにして、髪を気にしている。


一瞬、その手が止まった。


彼女はカバンから財布を取り出し、開いた。

ウィンドウを見る。

財布の中を見る。

顔を上げ、雲行きを確かめる。

またウィンドウに目を戻す。

しばらく、じっと立ち尽くしていた。


やがて、財布を閉じ、カバンにしまう。

そして空を見上げた。

雨は、まだ降り続いている。


彼女はちらりとウィンドウを振り返り、

片手で目の上に庇を作ると、駅の方へ駆け出していった。

流れる傘と傘の間を、小走りに去っていく。


彼は、静かにそれを見送った。

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