【4】情報提供-柏原幸子(51)


Aさんさぁ……やめときなさいって忠告はしてくれてたんだよねぇ……。


覚えてるんだけど……。


でもねぇ……。 


ほら、ここら辺って田舎でしょう?


スーパーって言ったらあそこしかないのよ。


しかもバーゲンだったから。 


わざわざ隣町まで行くのもねぇ……て思って。


自転車でさっと行っちゃおう。


そう自分に言い聞かせて走らせたのよ。


そうしたら……。


最初、地面が揺れたでしょ?


だから私、転んじゃって……ほら。


膝擦りむいたんです。


それ自体は大したことではなかったんだけどね?


傷口に吸い付くのよ、アレ。


私、自分でもびっくりするくらい叫んじゃって。


反射的に、ひっぱたいたの。


そしたら、あっちもあっちでギャンッて、棒で叩かれた犬みたいな声あげて……。


そのまま、どっかに消えたわ。


すごいわよねぇ。 


四足歩行で、どうしてあれだけ速く走れるのか……。


なんて、変に感心しちゃったりね?


それどころじゃないのにねー(笑)


まぁ、それで私もハッとして。


自転車に乗り直して、買い物に行ったのよ。


え、おかしい……かしら?


だって……はやく行かないとバーゲン終わっちゃうでしょ?


夕方限定なのよ。


それに、私があの場に残ってどうするの?


出来ることなんて、無いでしょ?


ただのおばさんがねぇ……あんなさぁ、大きな翼生やしたのに敵うわけないじゃない。


でしょ?


とりあえず会釈だけして。


ね?


さっさと通り過ぎちゃったわ。


あ、もちろん。


帰りはね、さすがに遠回りしたけど。


なんか、色々落ちてて気持ち悪かったしね。


だから、それだけのことなんだけど。


でもね。


Aさんにはごめんなさいよね、ほんとに。




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