死神さんは、今日も少女におはようと言われる

福上大樹

第1話 俺は死んで死神になるしかも冤罪で

「ふんふふーん、今日は給料日」

 銀行に行く途中でこんなことを言っている俺は、三条乃 幸登さんじょうの ゆきと35歳サラリーマン社畜だ、今日は待ちに待った給料日わざわざ会社を早退してまで銀行に行くほど楽しみにしていた給料日である。


 銀行にはそこそこの列があって、ワクワクしながら順番を待っていたついにあと一人のとこまで来て、前の男がおかしな行動をしてることに気が付く


 ガサゴソガサゴソ


 男がバックをあさって出したものは、銀色に光る包丁だった


 きゃぁぁぁぁぁぁ

 誰かが叫ぶ声が聞こえる、俺は腰を抜かしてしりもちをついてしまった

 男は、銀行職員の人に包丁を突き付けて、お金を要求している。職員の人は必死に抵抗しているが、上司と思われる人が出てきて、お金が入っていると思われる袋を渡している。


 男が中身を確認していると、外からパトカーの音が聞こえてきた、男は誰かが通報したことに激怒し、包丁を振り回しながら暴れている。サイレンの音が近づいてくると、男は慌てたように誰も近づかない用に包丁を振り回しながら出ていこうとした。

 しりもちをついている俺に気付かずに、


 グサッ

 男が半狂乱的に振り回していた包丁は俺の首に当たり、俺の首からは赤い液体が噴水のように噴き出している。床が一瞬で真っ赤に染まる。


 視界が狭まっていく、犯人はあわてたように逃げていく。誰かが近寄ってきてくれたようだが、自分でももう命は長くないことが分かった。


 あぁ、今回の給料は期待してろと上司に言われたのにな、せめて金額だけは見てみたかった…


 そこで俺の意識は途絶えた


 * * * * * *

「うぅ、ここは?」

 目覚めたのは、病院ではなさそうな真っ赤な世界だった

 少し熱いような気がする


「おいお前、そんなとこで寝るな地獄裁判のとこに並べ」

 目の前には、真っ赤な鬼がいた


「ふぇ?」

「ちっ、あそこだよ早く行け、俺がおこられるんだ」

 鬼が指さしたとこには沢山の行列ができていた


 てくてく

 鬼が怖くなったので、早めに並びに行くと前には百人ぐらいの人?が並んでいた

 * * * * * * *

 遂に俺の番になった、前の人たちは、一人一人宮殿に入れられ出てきていない


「入れ」

 門番らしき、青鬼に言われたので宮殿に入る


「そこに座れ」

 今まであった鬼よりもでっかい赤鬼が玉座に座っていた


「さてお前の罪状は、殺人・強盗・脅迫」

 は?全然身に覚えのない罪状が読み上げられる


「なかなかにひどいな、生活にも困ってはなさそうだったし殺人も重ねるなんてその挙句死ぬのか」

 確かに死にはした、生活にも困ってはなかったでも殺人はしてないし強盗もしてない


「そんなお前には、死神の役目をやろうせいぜいがんばれ」

 違うと言おうとしたのに、口が動かなかった

「あぁ、口答えされるとめんどいから喋れないぞ、じゃあな」

 最後の言い分すら聞いてもらえずに俺は、どこかに飛ばされた


「話をきけぇぇぇぇぇ!」

 飛ばされた先で開口一番に出た言葉はそれだった

 何なんでしょうね、あの鬼は人の弁明ぐらい聞いてくれてもいいじゃないですか


「うるせぇぞてめぇ!」

 腹の底に響くような大声がした方を見ると、これまたおっきな黒鬼さんがこちらに来るではないですか

 俺はすぐさま撤退を決意した


 シュタタタタ べちん!


 走って逃げたら壁にぶつかったと思ったら、さっきの黒鬼さんでした

「逃げるとはいい度胸してんな兄ちゃん」

 黒鬼さんの顔はとってもいい笑顔でした


 グシャ、めきょ、メリメリ(※自主規制※)


 ぼっこぼこにされました、でも死者なので死にません痛みはあるけど

「久々に暴れられてよかったわ、で?てめぇが新しい死神候補か?」

 ストレス発散に俺を使うな!で、新しい死神候補だって?あぁなんかそんなこと言われたような気がしなくでもなくない


「多分そうかも?」

「よし分かった、もっかいだな」

「嘘です嘘、私が死神候補です」

「そうか、でも嘘ついたんだからわかってるよな?」

「えっ?」


(※自主規制※)


 痛かった、とっても痛かった

「じゃあついて来い、死神の仕事について教えたる」

 従わなかったらすっごく怖そうなので、トボトボついていく

「お前は何をしたん?」

 道中鬼が質問をしてきた

「いや特に何も、冤罪ですからねここに飛ばされたのも」


「はぁ?死神やらされんのは、極悪人だけだぞ?」


「それが、訳の分からん罪でここへ」


「はぁ、閻魔様もそんなミスをしはるんやな」

 えぇ、ミスでここに飛ばされたん?じゃあ、仕事しなくてもよくね?


「今仕事せんでもええと思ったやろ、だめやでここに来たからにはしっかり仕事はしてもらわなかあかん」

 めんどくさ、

「ほな、ついたでそこに座り」

 なんか真っ赤に染まった椅子と机、筆記用具とメモ帳が置いてある椅子に座れと言われたのでおとなしく座る


「今から簡単に説明するで」

 といって、鬼は黒板に『死神講習会!』とやけにかわいく書いた、それ見て吹いたら、ぼこされた


「ええか、死神ってのは死にそうな人の魂を痛みの無いように刈り取り、魂を狙ってくる悪魔から守り抜いて、天界に届けるだけの簡単なお仕事や」

 簡単か?


「ほな、もっと詳しい説明をすると

 まず初めに、対象者に挨拶をする

 対象者がこの世に未練がなくなったと言ったら、刈り取る

 刈り取れるのは、対象者が深い眠りについたときだけである

 それ以外の時に無理やり刈り取ると、対象者にとてつもない痛みを与え、担当死神には重い罰則が科される

 ちなみに現在日本の死神は、4000匹、一人当たりの対象者は、ひと月5~10人程度

 なんか質問はあるか?」


 死神って結構めんどくさい仕事なんだね、後挨拶って何?


「挨拶って何ですか?」

「挨拶は、対象者に私がちゃんとあなたの魂を送り届けます、未練はないですか?と聞くだけや、未練があるって言われたら、どうにか頑張ってかなえてあげろ」

「えぇ、じゃあ死神って万能なの?」

「死神は、死なない・壁をすり抜ける・心を読める・声だけは誰にでも届けようと思えば届けられる・容姿は対象者だけにみられる・現世に顕現する際は、憑依という形のみ、ってのが特徴や」


 結構万能かも


「わかりました」

「そうか、じゃあこの死神初期装備セットをやるから鍛錬しといてくれ、後で対象者は教える」

 なんか典型的な、死神装備をもらった、黒いローブ・大きな鎌・骸骨のお面


 外に出ると、鍛錬場みたいなところに出た、とりあえず鎌をふるい続ける


 ブンブン


 結構楽しいかも、


 ブンブンブンブン


 結構うまくなったんちゃう?


 ブンブンブンブンブンブン


 こうか?かっこいいポーズを意識してみよう


 ブンブンブンブンブンブンブンブン


 鬼教官来ねぇな


 ブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブン


 早く来いやー!(死神の世界は、時がたつのがとっても早いです現在四日目ぐらい)


「悪いちょっと遅くなった」

「ちょっとじゃねぇ!」

「あ゛?」

「何でもないです」


「お前の対象者はこいつや」

 鬼が紙を見せてきた、そこには顔写真と、簡単なプロフィールが乗ってあった


「元アイドル、年は17歳病気でアイドルを引退、今は病院で闘病生活を送っている」

 かわいそうな子だ、

「かわいそうだが、もう先は長くない初任務としては少し重いかもだが、頑張ってこい」

 そうだよな、初任務にしては背景が重すぎね?


「ほらこの門をくぐっていってこい、場所とプロフィール手順はこの本に書いてある」

 鬼からもらった本を抱えて、俺はまがまがしい門の中に入っていった


「うん?あっ任務書間違ったまだあと寿命3年あるじゃないか…

 まぁ、冤罪だって言ってたし気楽に行けるからいっかな?」

 くぐった後に、鬼がそうやって笑ってたとか

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