定時なので帰りまーす!
@kimura_sotaro
第1話・窓際社員は夢を見ない
俺の名前は中村カズト。大手広告代理店に勤める29歳だ。
広告代理店、それは就職難易度トップクラス!
合コンに行けば誰もが目を引くまさに、勝ち組の企業なのだ。しかし気がつけば昇進は夢のまた夢となってしまい、今日も仕事へ向かう。
「やばい、やばい!このエレベーターを逃したら遅刻だ!」
窓際社員の朝はとても忙しい。電車の中でネクタイをつけ、そして会社までの道のりは猛ダッシュ!会社のビルにあるエレベーターは人が多く、回転率が悪い。
「仕方ない、階段で行くぞ!」
走る、窓際社員!
朝ギリギリまで溜め込んだバネを使って階段を駆け上がっていく。
「ピーポンパーンポーン」
始業のチャイムが鳴る。一方その頃窓際社は…
「はぁ、はぁ、はぁ。なんとか間に合った」
馬車馬の如く走った窓際社員、ゴールイン!
朝の作業のチャイムが鳴り朝礼が終わると窓際社員の一日が始まる!
まず朝はモーニングチルをキメに喫煙室に向かう。
「すぅ〜。」
そして真の始業時間が始まる!
「おっ、この前作成した文章が間違えているなぁ」
自分の仕事を持たない俺は、いかにも何かをしているように見せるべく、無からタスクを錬成する虚構の錬金術師なのである。
「よし、じゃあ保存せず終了っと」
成した業務を瞬時に消し去る。
今度は何をしようか…。
「カチッ」
パソコンの画面に映し出されたGoogleマップ。
一人社員旅行でもしよう。今日はイギリスに行こうかな。
「はー…」
何も疲れることのない窓際社員。ハリウッド級の名演技で疲労を隠す配慮も欠かさず、業務をしているように見せる。
「そろそろ飽きたな」
窓際社員の午前中は長い。サハラ砂漠で遭難してしまった一人の人間がまるでオアシスを求めるかのように、昼休みというオアシスに向けて歩き出している。
「トイレ休憩行ってきます…」
部内はパソコンをカチカチさせる音、電話をとる音、メモを取る音など様々な音で溢れかえっている中、俺は一人トイレでスマホのタップ音を響かせる。
「おっ、この株上がってる」
仕事中にトレーダーとしの業務に勤しみ、窓際社員は「株」、「本業」の二つの不労所得を得ている。これぞまさしく真の働き方2.0である。
このようにあらゆる手段を使い、時間だけが過ぎ、ついに待ちに待った昼休み!
部内にいても仕事を割り振られたり、電話に出なれければならないので外食は当たり前。
嫌われる勇気を持ち窓際社員は可処分時間を最大化!
「今日は何をしようかな。」
普通の社員なら飯をここで食らうところだろが俺は違う。今日はパチ屋に行くか。
「キュインキュインキュイーン、極上ボーナス!!」
「ふぉーい!!!!やったー、今日は1万も買った!」
まさかの臨時収入に気分が上がり思わず、ガッツポーズを取る。昼休みが終わる10分前にパチ屋を抜け出し、急いで本屋に向かう。
「今日は本この本を買おうかな。」
直前に入った臨時収入を使いアンチエイジングを怠らない。
そして午後もまた業務が始まるのである。
「ピーポーンパーポーン」
就業のチャイムがなる。
「明日から展示会があるので、分担して仕事を終わらせましょう。」
部長からの残業宣告を全員受け、部内の雰囲気が一気に下がる。しかし窓際社員はなりふり構わず、エレベーターの長押しにより瞬時に立ち去る。
このようにして窓際社員の一日は終わった。
ふーう。今日も仕事に向かうか…。
ここから先は考え中
定時なので帰りまーす! @kimura_sotaro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。定時なので帰りまーす!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます