大切な店を荒らされたので復讐します

こけっこサン

第一章 全ての始まり

謎の来客

魔女ウイッチの少女、ウィチは荒れ果てた家を見てため息をついた。

「はぁ。どうしてこうなっちゃったんだろう……。」

ウィチは小さな魔道具屋だ。

有名ではなく、知る人ぞ知る、小さな店。貧乏ではないが裕福でもない。

昨日、そんなウィチの元に一人の来客が来た。


「はい、どうされましたか、?」

オレンジ色の帽子を深く被っていて、表情が読みにくい。

背丈はウィチよりも小さく、体格などからして恐らく10歳ほどの少女だろう。

客?は無言で手を伸ばし固形物が入っている瓶を指さした。

「あ、こちらですか?こちらは一級品の魔鉱石でございます。」

すると謎の客?は可愛らしい声でウィチに尋ねた。

「その魔鉱石にはどんな魔力が詰まっているんですか?やけに厳重保存ですけど。」

魔力、それは魔法を発動する時に必要なパワーだ。

基本的には自然・機械・生物の三つで成り立っている。

この魔鉱石は少し特殊で、どれにも当てはまらない、回復ヒールの魔力が秘められている。希少で価値がとても高い。

「そちらは特殊でして、回復ヒールの魔力が…」

言い終わる前に客?は言葉を遮り言った。

「そうですか。わかりました。 ………ちなみに、これはどこで入手されたのでしょうか。」

(は、話遮られた!? 大丈夫かな、このお客さん…。顔見えないし……。)

少し不安だがここで答えないのは営業者としての評判が下がる。

「これは、知人がたまたま入手したもので。まあ、頂き物です。」

すると客?は安堵したような支配から解かれたような顔をして言った。

「よかった。まだ見つかってないみたい…。」

言い終わると客?は両手を宙に上げ、呟く。

電気プラズマ

すると、客?の指から青白く輝く電気が放出された。

「は!? ちょ、!ちょっと!? なにしてるんですか!」

ウィチは必死に止めに入るが、魔力の少ないウィチは壁に叩きつけられる。

「はい、勝手に動いちゃだめー。ニックの指示に従わない場合はこうなりまーす♪」

「痛っ!?」

生まれて始めて感じた激痛。ウィチは床でうずくまる事しかできない。

「……あぁ、名乗ってなかったね。ボクはニック。」

客?、改めニックはウィチにゆっくりと近づき、耳すれすれに小さな雷を落とす。

「死にたくなかったらあの瓶を寄越しな。」

痛みに耐えることしかできないウィチは殺されないように必死に頷く。

「わっ、わかりました! わかったから、こ、殺さないで!」

それを聞いたニックは唯一見えている口の口角を上げ、忠告するように言った。

「あ、あと、この事は誰にも話すなよ? 話したら…わかるね?」

ニックは棚から瓶を取り、乱暴にドアを開けて去っていった。

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