地獄耳と耳年増

ムーゴット

小学生の疑問

「ねぇねぇ莉奈りな、ちょっと教えて欲しいことがあるんだけど。」

雷人らいとくんが珍しく下手したてで来た。


「勉強のことなら武佐士むさしくんに聞いた方がいいんじゃない?」

あたしの成績は精々せいぜい、中の上!ってところだし。


「あー、でもきっと女の子の方がよく知ってるかもと思って。」


少し離れたところから大きな声が返ってきた。

「じゃあ、晴子はるこさんにお任せ!!」


かすみ 晴子はるこちゃんは地獄耳だ。

、、、えーっと、ってこういう使い方でよかったっけ。


かすみぃ! お前には聞いていないよ!」

「お前は、またそんなことも知らないのぉぉぉ!ってバカにするだろ?」


「しないから、晴子はるこさんに言ってみな。」


本当ほんとにしないか!?」


「約束する。」

言い切った後、かすみちゃんは、

あたしの方に振り返ってウィンクしたよぉ。


「なーぁに? 何の騒ぎ?」

孝太郎こうたろうが近くに来た。


「どーした? 自転車、調子悪いのか?」

武佐士むさしくんはサイクリングイベント成功を気にかけているんだね。


「大丈夫?」

萌音もねちゃんも心配そうに寄って来た。





結局、小学6年生仲良し6人全員揃った。

サイクリングの途中の休憩タイムに、雷人らいとくんの告白が始まった。


「昨日、兄貴あにきとお笑い系の動画見ていたんだけど、

兄貴あにきが、とあるネタに大爆笑して、

飲み物を、ブーー!って吹き出すぐらい大ウケして。

でも、俺、意味わかんなくて、兄貴あにきに聞いたら、

『そのうちわかるよ、大人になったらネ』

って、兄貴あにきもまだ中3なのに。

だから、莉奈りなちゃんなら知ってるかなぁ、って。」


莉奈りなが大人で、晴子はるこさんは大人じゃないって言うの!?」


「そんなこと言ってないよ、さまぁ!」


「わかった、わかった、みんなで考えよう。

雷人らいと、そのネタ、聞かせてよ。」

さすが、元学級委員の武佐士むさしくん、進行が上手い。


「あのね、昔むかし、あるところに、

サンタを信じているような心が綺麗な女の子がいました。」


「何でそこで晴子はるこの方を見るのよ!」


「見てねーし!」


「わかった! 続けて。」


「、、、その女の子が、ある日、神様に尋ねました。

『神様、赤ちゃんはどうやって、やって来るの?』

神様は答えました。

『それはね、ゴムに穴がいていたからだよ。』

、、、。」


「それだけ?」


「それだけ。」


「これでおしまい?」


「これでおしまい。」

武佐士むさしくんもあたしと同じで、意味がわからないみたい。


「ぁれ、」

かすみちゃんの顔が真っ赤だ。

孝太郎こうたろうは、耳まで赤い。

他の4人はキョトンとしているのに。


晴子はるこさま、わかるの?教えて!」

超々前ノメリな雷人らいとくんに、かすみちゃんはさらに赤くなった。


「やめて、それセクハラ!」


「どーしてぇ!?何が何だかわかんねー。

セクハラって、何なんだよぉぉぉ?」

雷人らいとくん、あたしも同じだ、わからない。


「自分で勉強しな!」


雷人らいと、後でAIに聞いてみよう。」


武佐士むさし、それヤバいよ、きっとBANされるよ。」


「、、、ヤバそうな話、っていうのは雷人らいとも気づいているんだな。」


「そのうちわかる、って兄貴あにきも言っていたから、

そのうちわかるなら、それでいいよ。」


「ダメだよ! そのうちでは!!」

かすみちゃんがさらにさらに顔を赤らめて怒った。


「ちゃんと調べて、ちゃんと勉強して。

困るのは女の子の方なんだからね。」


「どうして困るの?」


「だから、セクハラ!!!!

自分で考えて!」






孝太郎こうたろうくんが、こっそり雷人らいとくんに話すのが聞こえた。

「後からね。

女子がいないところでね。」


あたしもかすみちゃんにねだる。

「後から教えて。

男子がいないところで。」


「私も教えて。」

萌音もねちゃん、泣きそうな顔しなくても大丈夫だよ。


かすみちゃんはいろいろ知っているみたい。

あたしよりも大人なんだな。

ってヤツかな。

えーっと、使い方、これであっているっけ。

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