元少年の願い

 あざらし君、あざらし君。


 君は無事に家に帰れたかい? 温かくして、お腹いっぱいご飯を食べられているかい?


 あの日持ち帰ったあざらしのぬいぐるみを目にするたびに、君のことを思い出すよ。


 一人で泣いていないかい? 泣きたい時は俺があげた白熊のぬいぐるみを抱き締めて。


 きっと君は大きくなっているんだろうけど、中学生か、高校生になっているんだろうか。


 友達に恵まれているといいな。毎日たくさん笑っていてほしい。


 ……たった一度、少しの間一緒にいただけなのに、何でこんなに、君のことを忘れられないんだろう。


 あざらし君。


 君が泣いていないことを、心より願っているよ。


 笑って、あざらし君。

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