ネオナイトⅡ:ジェノサイド・プロトコル -The Neoknight Ⅱ : Genocide Protocol-

天ノ崎䌢

第1章 ハイアード・ガン -The Hired Gun-

第1話 ハイジャック

 恐れていた事態が遂に起こってしまった。それに対処すべく、光守洸太みつやまこうた倉本陽助くらもとようすけの二人がギアスーツに着替えて、直ちにベーシックスキルである飛脚で飛んでいった。


 向かった先は韓国・ソウルの仁川国際空港に向けて飛行中の、ポーランド航空の乗客乗員合わせておよそ四百人乗りのボーイング787旅客機である。情報によれば、現在飛行機は中国の内モンゴル自治区の上空を飛行していると思われる。


「まだかなりの距離がある」と、洸太が焦り気味に口にする。


 黒髪のマッシュボブに、整った顔立ち、そしてスラっとした細マッチョな体型をしていた。隣で飛んでいた陽助は、坊主に近い短髪で洸太より少し身長が高く体躯もがっしりしており、野球青年のような熱血漢という印象だった。


「ああ、ネオエンパシー……じゃない。超知覚エンパスで見た情景だと、まだ辛うじて飛んでいるみたいだな。それもいつまで持つかってところだけど」


「しかし、よりによって飛行中に仕掛けてくるなんて」


「まさかネオテック本部に気付かれたっていうのか?」


「分からない、でもその可能性が高いと思う。とにかく急ごう」そうして洸太は速度をあげていき、陽助もそれに続く。


 超能力が発現し始めた頃は、数日に一度の間隔で頭痛に襲われる度に、他人の心無い陰口や悪口、怒鳴り声や慟哭、拍手喝采や歓喜、家族団欒の幸せなひとときといった色んな情景や様子が、ネオエンパシーもとい超知覚エンパスという、常人より数倍発達した感知及び認知能力によって超高速で切り替わるスライドショーのように、脳内にランダムに浮かび上がってくる程度のものだった。


 しかし、ネオテックでの訓練や恩師であるキリスから託されたオーブをその身に宿し、日向雅人との戦いを経て頭痛は無くなり、受信する声と共に投影される情景も細部まではっきり見えるようになり、今では位置を示してくれるGPSのような役割を果たしてくれている。


 脳内に鳴り響く乗客たちの悲鳴の発生源を頼りに、飛行機の現在地を探っていると、前方から黒い煙が見えるようになり、近づいていることが分かるとともに胸騒ぎがする。


 辿っていくと段々と黒い煙の濃度が濃くなっていき、そうして雲間を抜けて遂に飛行機を発見できた。二つあるうち右翼のエンジンが故障して激しく火を噴いており、その影響で機体が下降していっている。


「まずい、このままじゃ墜落するか機体が爆発してしまうぞ!」


「エンジンの炎が胴体部分に移る前に切り離すしかない!」と、早速エンジンを分離させようと試みる。


 猛烈な向かい風に曝されながらしがみついて、エンジンを根元部分から引っ張り上げてどうにか剥がし、その直後に陽助と息を合わせて、念力で機体の角度を水平に戻すことに成功する。分厚い雲の層を抜けて、あと数百メートルで地面に激突するところだった。


 故障したエンジンを分離させたことで、正常な飛行は不可能となってしまった。ひとまず緊急着陸できる場所は無いか周囲を見渡していると、前方に谷間の開けた土地が見えてきたので、そこに飛行機を着陸させることとなった。


 なるべく衝撃を与えないようにそっと置いた後、機体の左側にある搭乗口のドアが開いて、それと同時に膨らんで出てきた脱出スライドに次々と滑っていく乗客たち。


 最後に乗組員たちも滑り降りて乗員乗客が全員無事であることを確認し、あとは警察と消防が来るまでの間、綾川善弘から聞かされていた、乗客の一人である白人男性を探そうとしたその時、後ろの上空に誰かの精体反応を感じ取ったので、洸太と陽助が同時に後ろを振り返る。

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