どっちなんですか!?ハルキさん!!

@kafu714

第1話1年生のとき (前半)

桜が咲き乱れ、時間といっしょに花びらが散っていく。

そんなかっこつけた、言葉を生み出しながら、ステージを眺める。

ステージに佇む演台にマイクが置かれ、マイクに向かって校長先生がなにか話している、あたりを軽く見渡してみれば真面目に、姿勢よく聞いているもの、あくびをしながら手遊びをしているもの、その動きだけでその人がどんな人物なのか、正確なのかが面白い。そんな俺も、少し飽きて来てふわっと出てくるあくびを手のひらで隠し、あくびにつられて出てきた涙の粒を手で拭う、先生が話を締め始めようとしているのを感じ取り、少し姿勢を正す。

「えぇそれでは皆さん、新たな高校生活を楽しんでくださいね!」

そう締めると、色んな場所から拍手が上がり、それにつられて体育館全体から響く拍手が徐々に大きくなっていく、その拍手についていくように、響いているのかわからない行動を2、3度繰り返した。

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入学式が終わり、今朝登校したクラスへと列を作り戻る。

前ではコソコソと話している女子の姿が目に入ってくる、話しかけているのがはじめましての人なのか、中学校……もしくはそれよりも前からの関係性の人なのかはわからない、そんなことを考えていると、いつの間にか自分のクラス……1のAへと到着した、ゾロゾロと自分の席に進んでいき、打ち合わせていたかのように椅子を引き始める。

「はい、皆さん入学式お疲れ様でした、それでは今から、重要なプリントと……皆さんの自己紹介を始めたいと思います、なので今のうちに話すことを考えておいてください」

めがねをキラリと光らせ、担任の教師が発言する少しざわざわとなり始める。

前からはプリントがとめどなく渡されてくる、一つを後ろに送れば、すぐに前から次の束が送られてくる、途切れたかと思うと先生の声が響き始める。

「それじゃあ……出席番号1番の人からお願いしますね」といい椅子に腰を置く。

出席番号が一番であるだろう生徒が教壇に出てきて自己紹介を始めた。

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何番まで言ったかはわからないが次の人が出てくる……と少し……ん?と目を疑ってしまった。

目の前には、上は男子のブレザー、したは女子のスカートという格好をしたウルフカットの……生徒が話し始める

「えぇ……桜木ハルキです、好きなことは……ドクショデス、よろしくお願いします。」

低くもあり高くもある、そんな声色喋っているからか、余計混乱してくる。

男なのか女のか今のご時世気にしないほうが良いのだろうがすごく気になる、そのままハルキはトボトボと自分の席へ戻っていくと、座ったと思ったら外を眺め始めた。

何考えてるのか気になりながら、もうそろそろ自分の番とわかり、前へと進んでいく。

「春風夏樹です、趣味は……サイクリングです、よろしくお願いします!」

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ホームルームも終わり、帰り支度を始めると少し離れた机から自分を呼ぶ声が聞こえてくる

「春風〜今日一緒に帰らね?親睦会しようぜ親睦会!」

声が大きい彼の名前は雨雲晴人、綺麗なオレンジ色の髪の毛をツイスパセンターパートにセットしている綺麗な髪色をしているが頂点あたりが黒……いわばプリン状態ということは髪を染めているのだろう、この高校は校則はゆるいと言っても、少しゆるすぎる気もするがと思うが。

「うん、ちょっと待って、ええっと後は……こんなもんかな…?」

忘れ物がないか確認をし、晴人についていくように教室を出た時。

「いてっ……スンマセン」

教室の出入り口でさっきの自己紹介で印象に強く残っている生徒、桜木ハルキがそこにただずんでいた

「なんすか?通りたいんすけど」

目を細くし、ハルキの鋭い睨みに怯み、そそくさと道を開ける。

「すいません!」

横では晴人が笑いをこらえているのが伝わってくる、そのまますれ違い、教室を後にした。

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学校を離れ、最寄りのファミレスに来ている、目の前には晴人とそのまえに置いてある、デザート類に晴人が目を輝かせている。

「それじゃ新しい友達と新しい高校生活に〜カンパーイ!」

「カンパーイ」

ドリンクバーで注いできた飲み物を頭上に掲げ、晴人と同じタイミングで手をつき始める。

「そういやさ一人、こう言っちゃアレだけど変な格好のやつ居たよな、上下で違う。」デザートを頬張りながら、話を始める。

「あぁ……雨雲くんが言えたことじゃないと思うけど……その人がどうかしたの?」

口に入っていた、デザートを飲み込み、続きを促す。

「うるせーよ、いや一つ気になったのがさその人……えーっと……」

「桜木さん?」

「そう!桜木!それで桜木って性別どっちなんだろうな?」

ビシッと指をこちらに指した後、僕の学校生活を一変させる言葉を発した、まだ始まったばっかだけど。

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他愛のない世間話を繰り返し、解散した頃には、すでに薄暗くなっていた。

春とは言えまだ少し肌寒い、さっさと帰ろうと足を踏み出し始める、家からはそう遠くない場所なので10分もすればつくだろうと考え、止まらずに歩き続ける、少しさみしい雰囲気をまとっている住宅街を通り抜け、家の近くのコンビニに差し掛かる。

「後ちょっとで家だけど……少し寄り道しちゃうか」

足の向きを変え、コンビニへと進み、自動ドアは開くとそこには……見覚えのある特殊な格好の人に出会う。

「すんません避けてもらっていいっすか?……あんたどっかでみたことあるような……?」

こちらの顔を少し覚えているらしく、まじまじと見つめてくる

「同じ高校の夏風です……桜木さん?」

自分の名前を言ったがピンときていないらしい。

「ん…?春風……誰?」

外を見ていたからか名前は覚えていない様子だ。

「えぇっと……その……教室から出る時にぶつかった」

ピンときたのか、茶色と黒が混ざったきれいな目を見開いた」

「あぁ〜で、なんでここにいるんすか?てかここ邪魔になるんで駐車場いきません?」

そう促され、駐車場へと移動する、少し冷たい風が吹く、僕もハルキさんもブルブルと一瞬震える。

「それでさっきの続きですけど、なんでここにいるんですか?」

少し上目遣いのはずなのに、可愛さが感じられない、しかも語気が強い。

「そーですね……家に帰る前に少し寄り道を……」

そう言うとどこか納得した顔で「そっすか」と呟く、そっちが聞いてきたのに……

「あそうだ、えぇっと……ハルカゼさんだっけ?ちょっと手のひら出して?」

いきなり、手のひらを出せと言われなぜと考えたがとりあえず出してみる。

「はい……どうぞ」

「ふぅ~」っと手のひらに息を吹きかけてきた。

「ちょっ!……何やってるんですか!?」

耳まで真っ赤に染まり、寒さが吹き飛んだ。

「えぇ……寒そうだから温めてやろうと思って……だめだった?」

にやにやと理由を述べながら、続けるように自分の手に息を吹きかける、たしかに寒さは吹き飛んだが……男ならただのじゃれ合い、女子なら勘違いするような行動だが……目の前にいるのは性別不明の人物だった。

少し固まっていると「ほんじゃ!」と手のひらをだし、薄暗い暗闇に消えていった。

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季節は変わって今は夏、絶賛テスト期間です。

入学式の日に親睦会をしたファミレスで、テスト勉強をしています。

「夏樹〜ここわかんねぇよ〜」

とうめき声を上げながら助けを求めてくる晴人くん。

「そこ結構簡単な方だと思うんだけどな……」

「じゃあなんだ!?俺が馬鹿だとでも言いたいのか?そのとおりだよ!」

食い気味に反論したと思ったら自分で勝手にすねている。

「はぁ~最悪赤点は取りたくねぇな〜、夏休みに補修とか終わってるだろ!!」

ははっと呆れながら、ノートに問題を書き込んでいく。

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「そんじゃあまた明日〜」と晴人くんが手を振りながら帰っていく。

ハルキとあった日以降特に関わることもなく、あっという間に時間が過ぎていった。

「はぁ〜結局あの行動なんだっただろうな……もしかして俺のこと……」

「何ニヤニヤしてんすか?キモいっすよ」

ズバッと言われた言葉が軽く刺さる、もとの現況はあなたなのだが……

「そうだ、突然なんですけど、夏休み……海行きません?」

海か〜確かに夏休みといえばという感じだが……ん?

海!!!???う、ううう、海?と心の声で焦りになりながら、平常心を保つ。

「なんで?もっと他に誘う人とか……」

「いやーこれ言って言いのかわかんないんすけど、夏休みに遊びに誘いたいけど二人っきりは無理!つって友達巻き込んで誘ってこいって駆り出されました。」

あっけらかんとしながら説明をしてくる、好きな人、友達……なんとなくわかった。

ハルキさんの友達は、晴人くんのことが好きなんだ、多分。

「えぇっと…誰だっけな確か…アマクモ君?だっけその人誘ってくれたらいいらしいよ、じゃあそんだけ」

といいそのまま風のように消えていった。

「また……何者なんだよあの人」

とハルキの自由奔放さに振り回される。

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テストまで後4日、僕の目の前にはゾンビがいます。

「な〜つ〜き〜た〜す〜け〜て〜」

「嫌だよ、自分の勉強もギリギリなのに……」

ノートに移した問題を解いていると昨日の出来事が、浮かんでくる。

「「海……行きません?」」

衝撃が強すぎて……額を机に押し付ける。

「おぉ…どうした?夏樹?わからない問題でもあったか?お前でわかんないんだから俺には無理だ!」

的はずれなフォローがとんでくるが、そんなことは今に始まったことではない。

ムクリと額を机から離すと、問題を解きながら晴人に聞く。

「晴人くん……夏休みさ……海いかない?」

突然の提案に目をぎょっと開いたと思ったらすぐに笑顔が出てきた。

「おう!いいぜ!てか誰と?もしかして……野郎だけ?」

胸を腕で隠すという魅力を感じないジェスチャーをしているが無視しよう。

「いや、それがさ昨日ハルキさんから誘われて……」

ふーんとニヤッと何かを察した顔をしたと思ったら、口を開く。

「それ俺もついて行っていい奴なのか?」

晴人が居ないと行く意味がなくなってしまうとは言えず、ううん……と唸りながら悩む。

「晴人くんが居ないと楽しくないと言うか……晴人くんが来ないと意味がないというか……」

小さく呟いていると、晴人が口を開く。

「俺が居ないと楽しくない……しょうがねぇなついてってやるよ〜!!」

フフンと鼻を鳴らすかのように、返事が帰ってきた。

予想していた返事とは違っていたが……結果誘えたから結果はオーライだろう。

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少しだけ時間は進んで、今日はテストが返却される日です。

「頼む頼む頼む頼む、赤点だけは……」

呪いでもかけるかのような勢いで、プリントを握りしめている。

自分の点数を見る覚悟が決まったのか、折りたたまれて渡されたプリントをバッと開いて、強く瞑っていた目を開くと……

「35点……しゃあ!!ギリ赤点回避ー!」

赤点を逃れ、狂喜乱舞していると、こちらへとキラッとした笑顔に頭上に答案を掲げこちらへ突っ込んでくる

「夏樹ー!!赤点回避したぞ!!!これで海だ!!!」

テンションが高いからなのか、声が大きい。

「ははっ」と笑いながら流しているが……普通にうるさい。

「夏樹はどうだったんだよ〜!」

テストの点数を教えるよう促され、普通に答える。

「うーん……全部……60点代だったよ?」

苦虫潰したような顔からニコッと笑顔に表情を変え、点数を晴人に伝える。

「すげぇな……あんだけ勉強してりゃあ当たり前か!」

そう言い残し、教室を飛び出していった、おそらく……他のクラスの友達に赤点を回避したことを伝えに言ったのだろう。

先程返された答案をみながら間違えた部分を見ていると……自分の顔の真横からぬっと顔を突き出し、プリントを覗き込むのハルキの姿が目に入ってきた・

「うわっ!……びっくりした……どうしたんですか?」

少しバランスを崩し椅子から落ちかけたが、なんとか姿勢を保ちハルキに問う

「どうしたんすかそんな驚いて……?てか点数高いっすね〜自分なんかこれっすよ〜」

そこには赤点スレスレの点数が書かれているプリントが、ハル期の顔の横でゆらゆらと揺れていた。

「まぁ海は無事うちも、友達も行けるんで。そんでちょっとやりたいことがあって〜」

ハルキのやりたいことは関わればろくなことにならないが聞く前からそうやって判断するのは自分のなにかに触る…

「いいですけど……なんですか?」

ごそごそとポケットをまさぐり、そこからスマホを取り出す。

「LINE交換してください」

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テスト返却からあっという間に夏休み、今僕達は電車に乗っています。

向かっている場所は、皆さんご存知海です。

「なぁ夏樹ー、なんで桜木の他にもう一人女子がいるんだ?」

耳うちをして疑問を問いかけてくる。

「僕もはじめましてなんだよ……ハルキずてに予定組んでたからさ」

「そっか〜」と小さくつぶやき、前を向き直す。

さっきはじめましてと言ったけど……あれは嘘になる、なぜなら少し前……1週間ほど前に顔を合わせているからだ。

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「はじめまして!秋風紅葉です……!」

少し高めの声に、黒髪のボブをした少し小柄な女の子だ。

「はじめまして春風夏樹です。よろしくお願いします。」

「はじめまして桜木ハルキです。」

すました顔で、挨拶に乗ってきたが……そこには触れないでおこう。

「なんすかー!乗れないっすねぇ……」

「それでね……雨雲くんのことなんだけど……」

「はい、ハルキさんから既に聞いてます……晴人くんは誘えたので当日いいムードになったら僕達は離れるので。

「ハルキちゃん!なんでバラしてるの!他の人に言わない約束で相談したのに!」

「えぇ……うち特にバラしてないっすよ……夏樹サンが勝手に予想しただけなんじゃないんすかね?」

「そうなんですか?」

好きな人が既にバレていることへの恥ずかしさなのか照れているだけなのか詳しくはわからないが顔が赤く染まっている。

「えぇっとですね……それも正しいんですけど……ハルキさんが晴人くんを誘えって脅してきてぇ……」

えぇっと人ならざるものを見るような眼差しをハルキに向ける。

「はい?うちそんなこと……あぁ言ったスねぇ普通に……ごめん!」

謝ったかと思えば、そそくさと逃げていき逃げるハルキをを追おうとする紅葉さんがこちらを振りむく。

「それでは、当日……よろしくお願いします!」

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駅につき、景色を眺めていると……横から耳を突き刺すような声が駅前に響く。

「ほら!!見てみろよ!海だぞ!海!」

子供もびっくりなほどにはしゃいでいる晴人の姿を見て薄ら笑いを浮かべているとハルキが晴人に乗っかる。

「確かに綺麗っすねぇ……」

「ほんじゃ海まで競争でもするか!」

「ソレ良いっすねぇ、やりましょう!」

ニヤッとしたかと思えば二人でそそくさと話を進めている。

「ちょっと僕達を忘れないでくださいよ……ハルキさんは置いといて紅葉さんのこと考えてください。」

「ちょっといま失礼なこと言いませんでした〜?」

少し頬を膨らませて、絡んでくる。

「秋風さん……だっけ?疲れたらすぐに言ってな!」

ニカッと笑いながら紅葉さんに問いかける。

「……うん」

「そんじゃ海へレッツゴー!!」「おー」

二人共、元気に駆け出し始め二人の背中を追いかける。

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「うわっチョー冷てぇ〜!!」

海につき、晴人は先に海へと足をつける。

「そんなにすっか〜って冷たっ!」

季節に合わない長ズボンを捲りあげ、ビシャビシャとはしゃいでいる姿を遠めから眺める。

「ちょっとそんなにはしゃいでると濡れますよ!」

大きな声で海で遊んでいる二人に届いたのかこちらを向き、言葉が返ってくる」

「夏樹サーン言ってることがーおかーさんみたいっすよ〜」

「夏樹おかーさ〜ん」

手を口に近づけ、簡素なメガホンを作りこちらに叫んでいる。

「ふふっ……おかあさん……」

「なっ……紅葉さんまで…!」

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水を掛け合ったり、コケて海に落ちて水浸しになったり……そんなことをしていたら当然時間は経ち、夕焼けが差し掛けてきたころ。

「夏樹サン……そろそろ離れましょうよ。」

「えっ……あそっか!」

そそくさと、岩陰に身を隠す。

「あれ……?秋風さん……夏樹たち知らな……」

紅葉さんにあたりをキョロキョロと探しながら問いかけたところで……動きが固まる。

「あの……私と……その……お友だちに……なって…くだ…さい…」

ドギマギしながら現場の様子を見ていると、横からかすかな笑い声が聞こえてくる。

「ちょっと…今重要な場面ですよ!」

「いや笑だって笑告白するのかと笑思ったらwお友達になってくださいって……言っちゃあアレっすけど面白くないっすか?ってなんすかーその顔……でも晴人サンに立場置き換えて想像してみてくださいよ〜」

ハルキの発言を聞きゴミを見るような目で見続けるが、途中で呟いた言葉を想像してクスッと笑えてくる。

「ほら!面白いでしょ!!」

「それでも!友達の大事な場面何だから、緊張感持ってください!」

「はいは〜い」

と再び二人の方を見直す、夕焼けに染まった顔がどこか儚く感じる。

「良いっすよ!てか俺達もう友達っしょ?今度どっか遊び行く?」

「えっ……」

考えていた返事とは違ったのか少し戸惑いながら……「はい!」と頷く。

そんな青春のような1ページを見て、あっという間に夏休みは終わっていった。


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