まずは、その導入。探偵ドラマとか怪盗ドラマとか・・・何かが始まるぞ、と言うあのワクワク感があります。そして、誰よりもキャラの立った“博士”。「芸術家の卵」「作曲家の卵」「スパイの卵」このチョイスも面白いなあと思います。ラストは、ボサボサな博士が、なんともカッコよく痛快なまでに心に残ります。オシャレだなあ・・・。この博士シリーズ、あったらいいのに・・・。ぜひご一読くださいませ。
発想一発で読者の立ち位置をひっくり返してくる短編。「見ている側」が物語にどう関与しているのかを、講義室という閉鎖空間で鮮やかに成立させている。説明に逃げず、会話と状況だけで納得させる構成力が強い。短編SFとして、読み終わったあとに一段深く考えさせられる一作。