妖魔怪
有田くん
第1話 非日常がこんにちは
ジリリリリリリリリリリリリ!!
警報器が
所々から人間が集団で走ってくる足音がする。
「こちらA班、標的と対峙した。発砲を開始する。」
ああぁ…またこれだ。
十数のライフルが向けられた。
ダダダダダダダダダダ!!
五秒ほど発砲し続けた後。
「発砲やめ!」
弾丸は標的に当たることなく、空中で停止していた。
「化物め……ッ、撤退するぞ!」
「こちらA班!撤ッ…」
グシャァ
まずは連絡係を巻き込んで3、4人やってから。
「撤退!撤退!」
「スモーク!」
兵士の一人が投げたものからは煙が出るが、標的が手を向けるとそれは消滅してしまった。
スモークに向いていた手は兵士たちに向けられた。
「クソッ」
パァン!!
彼らは腹部から何かが破裂し、肉片に変わってしまった。
ひとまず片付けたし、外の様子を見ようかな。
とりあえず壁壊して外が見えるかやってみよう。
ドゴォ
ガラガラ
お、外だ
頭を少し出して、覗き込んでみると。そこはおおよそビルの七階ほどの高さだった。
うわぁ下は水だけど、ここは高いな……怖いし、あまりここから出る選択はないかな。
彼が脱出口について考えていると、突然足元に魔方陣が現れた。
うわ!なにこれ!
避ける間もなく、方陣から光の棒が彼を貫いて固定した。
これは……魔法…、貫通してるけど痛くないな。僕を捕らえてるだけ?
すると、方陣を仕掛けた本人たちが現れた。グループは先程の兵士たちと違って、動きやすい普段着で、ライフルなど持っていない。
「おーおー、こいつが噂のー 見た目えらいなー まさか頭がまるまる目玉なんて、妖怪ちゃうん?これ」
じゃらじゃらした格好の男は鎖で繋がれた武器を持っている。
「バカなこと言ってないで、早くやって」
奥の長髪の女は何やら膝をついて、地面にふれている。こいつがこの拘束魔法を発動させているのか?
十数人はいると思ったが、どうやらこの二人だけのようだ。
「さー 化物君、覚悟いけるか?」
男はそう言うと、距離を保って鎖武器を振りかざした。
どうしたものか、この拘束、魔力と気の流れを乱している。これじゃ術は使えないな……それなら…
怪物の頭の眼球のピントが女に向けられる。
「ッ……!?」
女はグワッと飛ばされ。地面から手を離してしまった。
怪物を拘束していた光の棒は引っ込み、体と術は自由になった。
この間一瞬、すぐさま鎖武器を止めた。
ビタッ
「うわーやるねー」
男は間髪いれず、再び武器を振りかざした。
今度は横から うおっと
ビュゥン!
人が出した音とは思えないのが頭をかすめた。
これは
彼は迷わず後ろの壁の穴から外へ飛び出した。
「うわ!逃げやがったであいつ!」
「ゲホッ…追って!」
「言うても無理やで、ここ8階やもん。……首いける?ぐきぃいかれてたやんな?」
「大丈夫……何なのあれ…魔法でも妖術でもない……。とりあえず連絡よ、逃げ出したとみんなに伝えて」
「りょーかい」
時は昼下がり、暑い、学校がいつもより早く終わった。ちょー嬉しい
今下校中で一人で帰ってる。今日部活があるってみんなに先に帰ってもらったけど、顧問が休んでて無しになったからだ。
途中気になって、お気に入りの野球チームが出場したゲームの結果を見てみると負けていた。
帰路には小川を跨ぐ橋がある。この時期になると在来種のザリガニがたくさん見える。
「めっちゃ夏だな」
川は底が見えるほど綺麗だ。暑さに耐えかねて入ってしまおうかと考えていると。
「え」
なんと、人が流れてきた。まるで桃太郎の桃のように。どんぶらこどんぶらこと、
「ええ!お、溺れて?る!?」
急いで橋を降りた。
「うそうそ!?」
ながされていた人間は自分と同じくらいの年に見える白髪、短髪の少年だ。
急いで引き上げ、救急車を呼ぼうとすると。
「かはっ!」
少年は目覚めると同時にむせ返り、大量の水を吐き出した。
「おえーー」
「大丈夫!?今救急車呼ぶから!」
「いけるいける、ちょっと流されてただけだかr…カハッ!」
少年は口に手を突っ込むと、手のひらほどの魚を取り出した。
「まじか……」
魚は川に投げた。
少し冷静になって彼を見ると、服が一般のものというより、病院で患者が着るような服をしていた。
彼はふらっと立ち上がり俺に尋ねてきた。
「ここどこか分かる?」
「こ、ここは……ちょっと待って地図出すね」
そう言ってケータイの地図アプリを出した。
「ここは城周街って言うところで、ここはーこの端っこのとこ、分かる?」
「ちょっと貸してくれない?」
そう言って横から操作した。
彼は現在の位置から、川をたどってスクロールしていった。すると、指が止まった、地図は岡崎研究所というところ示していた。
「結構流されたなー」
「……研究所?」
「あー僕そこから逃g………」
彼はそう言いかけると白目になって倒れてしまった。
ドサ
「え!まって!いま"逃げ"って……大丈夫?」
ここは救急車を呼ぶのが正解なのだろう、しかし、さっきの「逃げ」が気になる。
つい最近女の子が研究所から逃げ出すドラマを見た影響か、この子も逃げ出したというなら、救急車を呼んでしまうと見つかってしまって連れていかれるのではないか?と普段なら考えられない飛躍した妄想が脳裏に浮かんできた。
まぁそんなことはどうでもよく、この近所に知人の診療所がある。とりあえずそこに連れていって様子を見てもらおう。
とりあえず彼を持ち上げよう。
「軽ッ」
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