第2話:先輩と後輩

 私が先輩と出会ったのは、まだ歳が7つの頃でした。

 


「ふぇぇ…っ」


 滑り台で泣いている少女がいます。

 私じゃないですよ?


「どうしたの?」


 泣いてる子に話しかけた子、こっちが私です。

 私の質問に、弱々しく少女が答えます。


「きょう誕生日なのにぃ…ママもパパもお仕事で会えないのぉ…」


「…かわいそう」


 私は泣くと、よく母に頭を撫でられていた癖で、少女の頭を同じように撫でていました。


「ありがとぉ…」


 能面じゃなかった頃の私が、不器用に微笑んで見せます。

 やっと泣き止んだと思ったら、質問を仕返してきました。


「きみ、おなまえは?」


 胸につけた防犯の名札を指で摘み、教えます。


「しのはらかなめ、だよ。あなたは?」


 そして、ついにその名を聞くのです。


「“ふおんせいな“だよぉ」



 これが私と先輩の出会いです。

 この後、私たちは友達になって、(恋人になって)色々とあって同居する羽目に…

 ちなみに9歳の先輩を慰めてる私、7歳でしたからね


 そんな先輩が今では。


 

「ダーリン、今日も可愛いね」


「早くご飯食べてください…」


 何があったのだか、本当に…


「ああ、食べるとも。キミが愛を込めて作った朝食を食べないわけがないだろう」


「愛は込めてないです」


 でも、意外とこのスパダリ、昔と変わらない可愛らしいところもあるんですよね。

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スパダリ先輩は後輩のことが大好きです @Ama212

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