苦しみもがく初心者パンツァーへ贈る、ロートルパンツァーからの緩い覚書
西海子
1.プロットなんて要らねぇよ
最初からなんだと思いましたね?
これがパンツァーです。
今も脳から直接、文章を指先に送っているようなものです。
プロッターからは考えられない、パンツァーならではの技術です。
少し、分かりやすく書きましょうか。
まず、プロッターとパンツァーという分類。
この言葉を知らない人も物書きにはいると思います。
プロッターは、物語を書く前にメモやプロットなど、作品の設計図を作ってからそれに沿って執筆を進める人。
パンツァーは、全ての情報が脳内に収まっていて、設計図なしに即興で突然書き始める人。
極端に言えばこの二つです。
勿論、ハイブリッド型の人もいます。
パンツァーでも重要なキャラクターデータぐらいはメモを作る人もいますし、プロッターでも時にはキャラクターを自由にさせる人もいます。
でも、今回はパンツァーについて話しましょう。
なぜなら私がノープロット、メモすら作らない極度のパンツァーだからです。
私はプロットがあると書けなくなる人間です。
一度、一話の流れと出す情報の順番、誰がどこでどの情報を出すのか、話はどう展開してどう着地するのか、全て紙に書き出したことがありました。
私もプロットがある執筆というのをやってみたくなったからです。
結果、そのプロットは捨てましたし、その話は完全に書けなくなりました。
私の中で一度たわむれに作ったプロットが、想像の余地を全て奪ったからです。
生涯でプロットを書いたのはその一度切り、結果として三十余年パンツァーやらせてもらってます。
プロッターから見ると、パンツァーというのは割と気味の悪い生き物に見えているんじゃないかな、と思います。
なにせ、真っ白なテキストファイルにいきなりタイトルを記入して、第一話なんとかかんとか、と見出しを書いて、そのままノータイムで本文をバカバカ打ち始めるんです。
パンツァーの頭の中ではこの時、大抵、映像が流れています。勿論、文章が流れている人もいると思います。
それは思考形態の違いなので、さしたる問題ではありません。
大事なのはパンツァーは基本的に脳内の情報と並走して文字を打ち出しているということ。
少なくとも私はそうです。
ノープロットで書くことに慣れたパンツァーはこの時、脳内の情報の速度と指先の動きを同期させてリアルタイムでの執筆が出来る様になっています。
なので書けるようになるまでは時間がかかっても、取り掛かるとそのまま切りの良いところまで書き切れます。
これは小手先の技術ではなく、身体技能にまで特化させているものだからです。
さて、そろそろ本題に行きましょうか。
パンツァーの卵たち、初心者パンツァーが苦しむポイントについて。
大きくいくつかに別れると思います。
列記してみましょう。
・脳内のキャラクターが暴走して収集がつかなくなる。
・走り出した映像(脳内文章)に出力が追いつかない。
・ずっと続いてしまって一向に作品が終わらない。
・キャラがブレたり設定に齟齬が出る。
・自分が見ているものがうまく言葉に落とし込めているかわからなくなる。
この辺りでしょうか?
年季の入ったパンツァーでは、これらはまず起きません。
自分でコントロール出来る様になっていくからです。
でも、加減が分からないうちは対処法も分からないし、プロッターに相談しても「ちゃんとプロット作れば全部解決するじゃん」で終わりです。
なので、ゆるゆるとロートルのパンツァーから役に立つかどうか分からんアドバイスのようなものを、数回にわけて書いていきましょう。
今回はこれだけでいいです。
プロットなんて要らねぇよ。
これを本気で口にしているパンツァーに出会ったら、一度その人の作品を読んでみることをお勧めします。
もしその作品が伏線の撒き方や回収度合い、ストーリーやキャラクターの破綻が見られないなど、プロットがあるとしか思えない作品だったら、そのパンツァーは本物です。
相当に年季の入ったパンツァーか、あるいはただの天才かです。
次回は、パンツァーの脳内で起きていることとそれを文章にするときに起きる困ったこと辺りにしましょうか。
今現在、私自身がうつ病治療中で、この文章はリハビリも兼ねています。
やや乱れた文章になっているかと思いますが、ぬるい目で見ていただけるとありがたく存じます。
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