いつか君に伝えられたら…。
夕凪あゆ
第1話
教室の隅で
誰にも見せない顔を
今日も上手に折りたたむ
「普通」でいるための
チェックリスト
声の高さ、距離感、
踏み込みすぎない視線
君の前では
全部が狂ってしまうから、
どうも上手にいかないね。
誰かが言っていたのだけど。
秘密って、
隠すほど価値が出るらしい。
だからこの気持ちも、磨けば光ると思って。
過度に触れずに、けれど大事に、
抱きしめておく。
誰かの恋が
成功例として語られるたび、
自分はどうかと考える。
ねえ。
気づいてないふりが、一番残酷だって。
君は知らない。
–––知らないから、
苦しい。
本当は呼び止める理由なんて、
山ほどあった。
ノート、天気、
どうでもいい噂話
でもそんなことを出汁にして、
君の本音に近づくのが
一番厭だった。
人間は、
正解だけを選ばない。
間違いだと分かってても。
期待の方へ、
一歩踏み出そうとする。
もしも、
この気持ちがバレたとして。
–––笑われたとして。
でも、それでも、
君の世界に、
一秒でも入り込めたなら。
そんな想像を
考えた時点で
もう、私は負けている。
それでも。
誰にも何も伝えられなかった私を
嫌いになれないのは。
この気持ちを、
まだ言葉にすることが出来ると、
この青春を書き留めることが出来ると、
信じているから。
いつか、全て出し切った時。
君に、伝えようかな。
–––––いつまでも、大好きだよって。
いつか君に伝えられたら…。 夕凪あゆ @Ayu1030
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