遠い未来の英雄へ
遊び人
遠い未来の英雄へ
「やはり、平和だな」
春から警官になった僕は
今日も先輩と外回りをそして
先輩のお決まりのセリフを聞いていた
「そうですね、
昼ご飯どうしますか?お金なくて」
「気にすんな今日は奢るぞ」
公園から聞こえる子どもたちの声が
この街の平和を象徴している
「ここは大丈夫だな、次に公園に向かおう」
「分かりました、向かいましょう」
順回路を歩き公園にたどり着いた
子どもたちが遊具を使い遊んでいる
だがその景色に今違和感があったのだ
「先輩、あの人」
遊具の柱にもたれ掛かる
長身の男が1人いた
誰かを待つわけでもなく
子供を見つめている
「声をかけましょう」
「すみませんが事情聴取に協力を」
先輩は慣れた口調で話し掛けた
男「あ、私ですか?分かりました」
意外にもその男は
あっけな表情をこちらに見せる
男を公園の脇へ誘導する
「なぜ、一人でここへ?」
先輩は質問
僕はメモを取る
男「いや、それは暇だから」
先輩「そうですか、ですがここで一人だと不自然でね」
男「まぁ、でも居てもいいですよね?
別に子どもたちが僕に怯えてるわけでもないし」
先輩「すみません、そういう訳では
事情聴取終えたら戻って良いですから」
男「聞いてくださいよ警察さん
私ね元気な子どもたちを見ると嫌になるんですよ」
突然の一言にメモを取る手が止まる
先輩「え、何を言います?」
先輩も慣れた口調から
オドオドした口調に変わる
男「話はまだ終わっていません
あの遊具に爆弾を仕掛けたんですよ」
男は指を差した
丁度もたれ掛かっていた柱だ
そこに爆弾らしきものが取り付かれていた
先輩「おい、お前いつ爆破するんだよ」
男「間もなく、ですかね?」
僕はとっさに遊具の方へ
給料の問題今後の不安
そんな絶望に比べたら
こんな絶望なんて怖くない
遠い未来を生きる子どもたちのため
爆弾の元へ駆け込み飛び込んだ
だが爆発しなかった
それは爆弾ではなかった
ただの箱だった
軽い箱を持ち上げ確認していると
後ろから拍手の音が聞こえた
警部「ブラボー〇〇君 」
不審な男は警部であった
僕を試してたのか?
先輩「爆弾じゃないぞ、安心しろ」
僕「なんだ、良かった、あはは笑」
くそっ
この爆弾で
僕が命を落としてまで
子供達を守れたら
借金に毎日怯えずにすみ
そんな事もチャラになったのに
せっかく英雄になれると思ったのに。
後ろからは今も拍手と
子どもたちの声健気な
笑い声が綺麗に重なった
遠い未来の英雄へ 遊び人 @asobibinin
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