06|県議インタビュー記事

2020年3月3日発行

地方紙「███新聞」 県議インタビュー記事



家庭の土台を強くする県政を

インタビュー 子育て世帯支援の成果と次の課題 県議・おんゆたか氏に聞く


 少子化の進行や共働き世帯の増加など、家族を取り巻く環境が大きく変化する中、自治体の子育て支援策には実効性と持続性の両立が求められている。███県議会で長年、福祉や子育て分野に携わってきた県議のおんゆたか氏(48)に、これまでの施策の成果と今後の方向性について話を聞いた。



■「生活の中で役に立つ支援」を積み重ねる

――近年、子育て世帯向けの施策が拡充されています。現状をどう評価されていますか。


恩田氏:

 少しずつですが、生活の中で役に立つ支援が形になってきたと感じています。一番大きいのは、子育てに伴う不安を少しずつ減らせていることでしょう。

 保育所整備や待機児童対策に加え、医療費助成や教育関連の負担軽減など、家庭が安心して子育てに向き合える環境づくりと、将来設計を描きやすくなる施策を積み重ねてきました。


 恩田氏が重視するのは、制度の「分かりやすさ」だという。


――制度設計で意識していることは。


恩田氏:

 机上の理論で作らないことですね。支援策は、あっても使われなければ意味がありません。共働き世帯が多い県ですから、申請の手続きがはんざつだと利用されにくい。市町村と連携しながら、電子申請や窓口の一本化など、現場で負担にならない仕組みを整えてきました。


 実際、市町村との調整も多いという。


恩田氏:

 県がおんを取っても、最前線で住民と向き合うのは市町村です。だからこそ、現場の職員の意見を聞きながら、無理のない制度にする。時間はかかりますが、結果的に定着します。



■子育ては長期的な視点で

――子育て支援に取り組む上で、特に意識している点は何でしょうか。


恩田氏:

 私も父親として子育てをしてきたのでわかりますが、子育ては短期間で完結するものではありません。結婚、出産、就学と、家庭の状況は段階ごとに変わります。それぞれの局面で不安を減らし、将来の見通しを持てるようにすることが大切です。

 子育ては短距離走ではなく長距離走です。ある年だけ手厚くしても意味がない。結婚して、子どもが生まれ、成長していく中で、どの段階でも支えがあると感じられる、継続的に支える仕組みであることが必要なんです。


 その考え方は、家族全体を支える視点にもつながる。


恩田氏:

 子どもだけでなく、保護者が安定した生活を送れることが前提です。働き方や家庭内の役割分担は家庭ごとに違いますが、どの形を選んでも無理が生じないよう、行政が下支えすることが重要です。

 特に子どもが小さい時期は、家庭に目が行き届く環境が必要です。そうすると、どうしても親がフルタイムで働き続けることが無理な場合も生じるでしょう。行政としては、そうした選択をした家庭が経済的に不利にならないよう下支えする。それが県の役割だと思っています。



■仕事と家庭の両立を現実的に

――仕事と子育ての両立は、多くの家庭が直面する課題です。


恩田氏:

 そうですね。特に███県は都市部と郊外が混在していて、通勤時間が長い家庭も少なくありません。仕事にしっかり取り組みながら、家庭も大切にできる環境をどう整えるかは大きなテーマです。


 男性の育児参加についても触れた。


恩田氏:

 制度面では育児休業などの仕組みは整いつつありますが、実際に取得しやすい職場環境かどうかは別問題です。家庭を支える意識が社会全体に浸透することが、結果的に子育て世帯の安心につながると思いますし、それを後押しするような支援制度が必要です。



■教育・雇用と子育て支援の連動

 恩田氏は、子育て支援を単独の政策としてではなく、教育や雇用と結びつけて考える必要性を指摘する。


恩田氏:

 親の雇用が安定していなければ、教育にかけられる時間や費用にも悪い方向に影響します。どの家庭でも将来を見据えた選択をできるようにしなければなりません。

 夫婦共働きの世帯も多いですが、片方が家計を支え、片方が子育てを担うという形を選ぶ家庭もまだ多い。そうした家庭でも将来に不安を感じない賃金水準や雇用環境を整えることも、県政の重要な仕事です。家庭の形は一つではありませんが、どの家庭でも生活の基盤が揺らがないようにする。それが県政の役割だと思っています。



■市町村で進む新たな取り組み

――県内の一部市町村では、同性カップルを対象としたパートナーシップ協定が導入されています。この動きについてはどう見ていますか。


恩田氏:

 市町村が地域の実情を踏まえて判断していることは尊重されるべきだと思います。住民に最も近い自治体だからこそできる取り組みもあるでしょう。


――県として関与する可能性については。


恩田氏:

 県の制度の多くは、現在の法制度を前提に設計されています。そのため、市町村の取り組みと県施策をどう整理するかは慎重な検討が必要です。

 もし県が関わるとなるならば、制度の公平性や持続性を考えなければなりません。県民全体の理解を得られる形でなければ、結果的に制度そのものが揺らいでしまいます。現場に混乱が生じかねません。


 県議会では、各市町村の状況を踏まえ、県として一定の考え方や指針を示すべきかどうかの議論が始まっているという。


恩田氏:

 現時点ではまだ県が一律の制度を設けるという段階ではありません。県が前に出るとすれば、各市町村の制度を整理し、最低限の指針を示す役割でしょう。

 ただし、一律の制度を上から被せるような形は現実的ではありません。市町村の取り組みを整理し、必要に応じて考え方を共有する。その程度が現実的ではないでしょうか。



■今後の重点分野

――今後、特に力を入れたい施策は。


恩田氏:

 まずは引き続き、子育て世帯の負担軽減と、仕事と家庭の両立支援です。特に働き方の見直しは重要で、長時間労働が当たり前の社会では家庭生活が成り立ちません。しっかり働けるし、しっかり家庭も支える。企業や地域と連携しながらそのバランスを取り、無理のない働き方を広げていくことが必要です。

 今、███県に限らず全国的に、子どもを生み育てる家庭を支えることが最優先課題のひとつになっています。その軸をブラさず、県として個別の課題を着実に解決することが、結果的に少子化対策にもつながると考えています。


 最後に、県政への姿勢をこう語った。


恩田氏:

 県政は理念を語る場であると同時に、日々の生活を支える実務の場です。派手な施策でなくとも、家庭が安心して暮らせる環境を土台から一つずつ整えていく。その積み重ねをこれからも大切にしていきたいと思います。


 淡々とした語り口の中に、実務重視の姿勢がにじむ姿勢が垣間見えた。

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