第2話
「てかその前にどうしたその口調?」
「いつもは内申稼ぐために丁寧にしてるだけ」
「これを録音してみんなに聞かせてやりたいな」
「やるならやれば?あなたにそんな勇気は無さそうだけど」
「終わってるな。でまあ、返事をする前に理由を聞かせてもらおうか。まさか俺のことが
、、、」
「まあそういうわけじゃなくて。見てたでしょ、私が告白されてんの。いちいち対応するのがめんどくさくて。そこで彼氏がいれば告白してこないでしょ。」
「それでどうして俺を?」
「扱いやすそうな単純な男に見えたから」
「それでOKすると思ったのか?」
「あんたにとってはご褒美でしょう?」
「そもそもタイプじゃないし、こんな終わってる性格してる奴と付き合いたい奴が何人いるだろうな」
「タダだとは言わない。毎月五千円でいい?」
「俺が金で堕ちるようなそんな単純な男だと思っていたのか?」
「そんな男にしか見えないけど」
「うん、その通りだ」
ってことでめでたく?俺と市川が付き合うことが決定した。
そしてトイレに行っていると市川はもう消えていた。手元の時計をみると授業開始まであと1分半であることに気づいた。結構まずい時間だったので走り出す。
長年の経験から、時間の32秒前に職員室の角を曲がれば間に合うことがわかっている。
そしてそこを通り過ぎて時計を確認すると、12時59分26秒。一時までに教室に入ればいいので、俺の勝ちだ。そんな何と戦っているかよくわからない感想を呟く。
2秒残しで俺は教室に滑り込む。5時間目は数学。ゆっくり息を整えていると、隣の席の松本から話しかけられる。
「長野、さっきは何を話していたんだ?」
「まあちょっと。後で授業が終わったら話す」
「教えてくれよ〜」
その後もしつこく聞いてきたが、この話を周りの人に聞かれてしまうとちょっとまずいのでずっと後で話すと繰り返した。
そして授業が終わると、松本を外に連れ出す。
「で、どんな話をしてたんだ?」
「誰にも言わないで欲しいんだけどいいな?」
「うんうん、わかったわかった」
不安な返事だな。まあいいか。どうせこの話は広まるだろうし。
「実は市川と付き合うことになった」
「はぁ?お前が?なんで?」
「なんか告白されて」
「お前趣味じゃないとか言ってなかった?」
「気迫が凄くてそのまま押し切られて」
まあ本当のことは言わないでおこう。
「どうも納得いかないんだよな〜。お前があの人に好かれるっていうのが」
まあそりゃそうだろうな。もし真相を知らずにこの話を聞いたら俺も不思議に思うはずだ。
その後も松本の質問をのらりくらりとかわし、授業が始まる時間まで持ち込んだ。
そしてその授業も終わり俺が教室から出て帰ろうとすると、市川が近づいてきた。
「どうした?」
「一緒に帰りましょう。私たち付き合ってるんですから」
この女、やりやがった。俺はその言葉を聞いたクラスメイトからの視線を痛いほど感じる。その視線は驚きや敵意が入り混じった物だった。
その場から逃げようと、俺は足早に教室の外へ出ていく。そして市川に話しかける。
「お前、なんてことを。なんでこんなことしたんだよ?」
「面白そうだったから。あと私のことが好きな男子の矛先をさっさとあなたに変えたかったし」
「はぁ、これから地獄の始まりかー」
そんな会話をして外に出ると、雨は降っていなかったものの、激しい雷が鳴っていた。
「急に天気変わったね。雨は降ってないけど。私とあいあい傘できなくて残念だった?」
「そんなことするか」
困った役柄を押し付けられたなと思いつつ、俺たちは駅へと向かった。
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