パーティの後で

クライングフリーマン

パーティの後で。

 ========== フィクションです ===========

「嘘だー!!!!!!!」

 被疑者である餅好磯子(もちずきいそこ)は叫んだ。

 昨日はクリスマス。計画は完璧だった。

 又従兄弟の保険会社で組んだ生命保険金合計1億5000万円は、手に入り借金はチャラになる筈だった。

 磯子は、結婚する前、ホテルのベッドメイキングの仕事をしていた。

 磯子の夫は薬剤師をしていた。

 又従兄弟と夫は、兄を訪ね、隙を見て殺した。

 そんな小説を書いている。実は、そう聞かされた時は、ドキっとした。

 私達3人は、計画を断念し、引き揚げて、ヤケクソでクリスマスパーティーをした。

 そして、今日、警察に呼び出された。


 警察署。取り調べ室。

 私はドギマギしていた。

 担当は、課長の開光蘭子警部補だった。

 兄が自殺した、と言うのだ。

 兄が殺されたのは、いや、自殺したのは、予約した客がいた部屋だった。

 そして、兄が予約した部屋は、隣の部屋だった。

 何故、兄は隣に誘導したのだろう?

 そして、死体から遺書。

 他殺としか思えない殺され方をしているのに、犯人は見つからない。そんな筋書きだったことは事実だが、実行していない。

 警部補も不思議だと言う。

 そして、『3つのペンネーム』のことを聞かれた。

「轟さんは、宇野絹(うのきぬ)、富田世(とんだよ)、鱈糠輪(たらぬかわ)という3つのペンネーム、いや、アカウント名でWeb小説を書かれていたことはサイトの運営会社から伺っています。先日、サイトの応募作で受賞されましたが、その3つのアカウント名連名での受賞でした。轟さんは、連名は洒落で、自信作では無かったので、と優勝賞金50万円を辞退され、それから丸1年経ちました。他の作家さんから指摘されるまで気づきませんでしたが、3つのアカウント名を合わせると、『捕らぬ狸の皮算用』となります。珍しいことなのでニュースになりました。そして、あなた方が轟さん名義でかけていた生命保険が増額されました。」

 私は、震える手でお茶を飲んだ。

「あなた方がクリスマスパーティをしていたファミレス。1時間以内で往復出来ますよね。折角のアリバイ工作も、作家さんの最後の『知恵』で『どんでん返し』をくらいました。

 轟さんは、あなた方が計画していたことを知り、逆の計画を練ったようです。轟さんは、同じ遺書を2通、用意しました。宅配便の人に預けたものと、背広の裏側に縫い付けたもの。背広の裏側の遺書には、何故かグラスの破片が付いていました。その破片には、あなたの指紋がありました。もうお分かりですね。あなた方は嵌めるつもりで嵌められたんです。殺す時、毒を盛ったグラスには指紋が無かった。でも、あなた方が最初会った時のグラスは処分していなかった。警察に通報したのは、宅配便の人です。3つのアカウント名の1つは宅配便の人のものでした。そして、最後のアカウント名は、ホテルの支配人のものでした。予約の部屋を取り替えることが出来るのは、ホテルマンだけです。この時期、いつにも増して繁忙期ですからね。2人の自白は取ってあります。あなたの夫と又従兄弟は、私の部下達が取り調べています。50万円じゃ、不足でしたね、借金には。」


 その後、『クリスマス殺人事件』は、世間に公表されることは無かった。

 宅配便の人とホテル支配人は、『自殺幇助』や『殺人幇助(未必の故意)』には当たらないとして不起訴になったが、賞金はやはり辞退した。そして、轟の小説を引き継ぐことを世間に公表した。


 午後8時。眩目家。

「やっと一件落着だね、課長、いや、蘭子。」

「真吉。クリスマスアフターをやろう。私は眩目蘭子でも開光蘭子でも仕事する。後で署名捺印しろ。」と、蘭子は婚姻届をひらひらさせている。


 ちょっとエッチな、サンタガールの格好で、準備万端の蘭子。

 ここからは、大人の時間だ。

 ところで、何故大曲が酔った勢いで真吉に蘭子を押しつけたのか?

 それは、大人の事情だ。


 ―完―


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パーティの後で クライングフリーマン @dansan01

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