路上占い、あれこれ159【占い師はクリスマス後に創作する】

崔 梨遙(再)

クリスマスの余韻に浸る821文字の掌編です。

 サンタは世界中に何人もいる。本社は某国にある。日本にも支社があり、シルバー人材センターや短期バイトが活躍している。各都道府県には勿論サンタはいるが、1つの都道府県内に何人もいる。それぞれ持ち場のエリアが決められている。毎年サンタ業をやってくれる者は決まっていてエリアの固定もされているのだが、毎年老齢のサンタが亡くなるので、その分の欠員補充はしている。正社員の募集ならハローワークを使うことが多いが、24日と25日の短期バイトの募集は一般の求人広告で行われている。あなたも見逃していただけで、サンタの求人広告が求人情報誌や求人サイトに掲載されていたかもしれない。


 ちなみに、このご時世、女性のサンタも増えている。老齢の女性サンタならシブイ感じだが、若い女性のサンタは「コスプレにしか見えない」と言われている。


 勿論、サンタはソリなどというものは、もう使わない。メインは原付、バイクだ。バイクの免許を持たないサンタはリアカーという手段もある。あまり自動車は使わない。よく駐禁にひっかかるからだ。しかし、全く無いというわけでもない。車、普通車や軽トラックを利用する時には助手席に誰かが乗る。そうして、駐禁対策を行う。サンタは2日間でプレゼントを配らなければいけないので必死なのだ。


 最近では、おもちゃを配ることは年々減っている。今もゲーム機本体やゲームのソフトなどは配られているが、ギフトカードというケースが増えている。おもちゃなら置き配だが、ギフトカードなら各住宅の郵便ポストに簡単に入れることができる。差出人は『本物のサンタ』となっている。これなら怪しまれないだろう。


 今日は26日。サンタの給料日だ。サンタはいつも最低賃金で働いている。夜勤手当がついても、あんまり儲かる仕事ではない。


 支社長が終わりの挨拶をした。


『皆さん! 来年もサンタをやってくれますか-!?』

『『『『『おーーーーーー!』』』』』



 みんな、お金のためにサンタをやっているわけじゃない。




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