第15話 2階層守護者
—— テスター生活5日目 夜 テストダンジョン1階層 マイルーム 真田 夜雲——
「ふう……さすがに疲れたな」
マイルームに戻り装備を外した俺は、ドカリとベッドへと腰掛けた。
今日はかなり奥の方まで行き、横穴に入ったはいいがとうとうホーンラビットが4匹出てきた。
メイン通路より狭い横穴で側面から2匹、時間差で背後から2匹はかなり忙しかった。
魔法が使える内は最初の2匹をまとめて処理できて余裕があったが、魔力が切れると途端に忙しくなる。思わず昼休憩時に魔力回復ポーションを使ってしまった。
回復速度が2倍でも、3時間でウィンドカッター5回分回復するのは助かる。これがF+ランクのままだったら約2回分だから微妙だったが、ランクアップしてくれて助かったというべきか。
幸い宝箱から合計2本の魔力回復ポーションが手に入ったので、収支はプラスだ。
5等級ポーションも1本、革の剣帯も手に入れ今日の宝箱は当たりと言えよう。
「魔法を覚えておいて良かったな」
Eランクになり体力にはかなり余裕ができたとはいえ、さすがに4匹のホーンラビットと連続で戦っていればどこかで集中力が切れただろう。そしてそこを突かれれば一撃もらう可能性もあった。
魔法のおかげで適度に楽ができ、リスクも減らせたと思う。
「さて、汗を流すか」
立ち上がり守衛服と下着を脱ぎシャワールームへと向かう。
そして汗を流したあと、下着と守衛服のズボンも洗う。明日は一日部屋干しにして、代わりに前に宝箱で手に入れた革のズボンを履くつもりだ。
シャワーと洗濯を終えたあとは、ショップで炭酸ジュースを買い飲み干す。そしてパンツ一丁姿で魔石の精算を行うため、リュックを手に魔水晶へ向かう、
結果は魔石が257個で7,710DPだった。休憩を除いて7時間でこれなら上々だ。結構早足でメイン通路と横道を進んだしな。
今日は銅貨は手に入らなかったので、昨日の残高と合わせて80,700DPとなった。日本円にして80万円ほどか。着々と貯まっていっているな。
「まあもう少し待て」
毎度の如くシャワーを浴びている時からギンギンになっている息子をなだめつつ、食いそびれないように夕食を2セット購入。今日はカツ丼だった。
そして夕食を食い終わり腹を少し休めたところで魔水晶の元へと向かい、恒例の壁尻サキュバスを呼び出す。
「おっ、今日はトップバッターか」
一人目は二日ぶりのイタズラっ子顔のドMサキュバスだった。
画面に映るピンクのショートボブの彼女は、前の笑みを浮かべていた顔から誘惑するような女の顔に変わっていた。
早くも尻をクネクネとして誘っている。
いつもなら尻を叩いてから突っ込むんだが、今日は違う。
昨日来ると思って用意したまま、机の上に置きっぱなしにしていた小道具に手を伸ばす。
そして彼女の横にしゃがみ、その小道具。紐で連結した洗濯バサミでドMサキュバスの両乳首を挟んだ。
その瞬間、ドMサキュバス翼がバサっと広がり、尻尾が猫のようにピンと垂直に立った。足もバダバタとまるで駆けっこをしているかのように地面を踏み締める姿を見て、だいぶ混乱しているなとほくそ笑む。
あまりにも騒がしいので、俺は洗濯バサミに繋いでいた紐を思いっきり手元へ向かって引っ張った。
すると両乳首を挟んでいた洗濯バサミが勢いよく外れ、その瞬間ドMサキュバスの足がガクガク震え股間から潮が勢いよく吹き出した。
初めての刺激にイッたようだ。
足の震えが収まるのを待ち、再びドMサキュバスの両乳首を洗濯バサミで挟む。
次に紐を持ったまま彼女の背後に回る。
そしてパンツを脱いで息子を一気に奥まで差し込み、激しく腰を前後させた。
三発出したところで少し落ち着いた俺はベッドに腰掛け、水分補給しながら今日のプレイはなかなかだったなと自画自賛をする。
今度は孫の手でも買ってそれで尻を叩こうかなどと考えていると、再び息子が勃起し始めた。
「もうか、回復力がやばいな」
それにまだまだ出し足りない。感覚的に昨日までのように5発じゃ収まりそうにないなコレ。
ムラムラが収まらない俺は、再びベッドから立ち上がり魔水晶へと向かう。
そして二人目の壁尻サキュバスを呼び出すのだった。
——テスター生活6日目 朝 テストダンジョン1階層 マイルーム 真田 夜雲——
洗濯バサミプレイをした翌朝。
ベッドから起き上がり、シャワーを浴びて歯を磨きながら昨夜のことを思い返す。
昨夜はドMサキュバスのあと、久しぶりに褐色お姉様サキュバスにわからせられた。
ドMサキュバスに三発出したあとに、短時間でさらに三発搾り取られグッタリしている俺の頭をまるで”よく頑張ったわね、いい子いい子”と言わんばかりに尻尾で撫でられた。
徹底的に敗北感を植え付けられたが、あの気持ち良すぎる名器には勝てる気がしない。
しかしそんな俺に再び自信を与えてくれたのが、3人目として現れたメスガキサキュバスだった。相変わらず挑発してくる彼女をわからせたことで俺は自信を取り戻した。
あの何度負けても挑発してきて呆気なくイク姿は飽きないな。
そんな感じで9発ほど出しスッキリした俺は、シャワーを浴びてから眠りについた。
7発目でムラムラは収まっていたんだが、メスガキが挑発してくるから結局限界まで出すことになってしまった。
それでも一晩寝れば怠さも無くなっており、今日も身体的には快適な朝を迎えている。
精神的には陽の光が恋しくなってきたが。
そこはダンジョンだから仕方ない、割り切るしかないと諦めつつ守衛服へと着替えていく。
ズボンは昨日洗ったまま乾いてないので、宝箱で手に入れた革のズボンを履く。丈が少し短いが動きに支障は無さそうだ。
次にショップで弁当とスポーツドリンクを購入しようとして、魔力を測るのを忘れていたので測ってみるが変わらずEランクのままだった。
「まあ昨日の今日だしな。ホーンラビット相手じゃもう上がらないかもな」
そう呟きつつ弁当を買い、革鎧と武器を身につけマイルームを出る。
そして泉の周りで顔を洗っている者や、武器を手に学生服のまま仲間たちと話し合っている集団を横目にダンジョンへと足を踏み入れた。
§
「ん?」
2階層の門から3時間ほど進んだ場所にあった横穴に入り、二つ目の角を右に曲がろうとした際に行き止まりであるはずの正面の壁に違和感を感じ立ち止まる。
正面も左側も壁しかない。が、何かがおかしい。
俺は正面の壁と左側の壁を調べようと近づく。
すると正面の壁の左端が、二重の岩壁になっていることに気が付いた。
岩壁と岩壁の間に、人が一人通れそうな隙間がある。
一旦離れて別の角度から、この重なっている岩壁を眺める。
「これはこのまま右に進んだとして、もしその先が行き止まりで戻って来てもまず気が付かないな」
俺が気が付いたのは、森の中で擬装して近づこうとする敵を警戒していた経験があるからだろう。麻薬カルテル同士の抗争の時も、路地裏で光学迷彩仕様の盾で待ち伏せしてた奴がいたしな。あの時も違和感を感じて試しに撃ったら人が隠れてたんだよな。
さて、こんな隠し通路があるんだ。この先に何かがあるのは間違い無いだろう。
俺は狭い二重の岩壁の間を進むため、リュックを背から下ろし手に持つ。そして革鎧をゴリゴリと壁に擦りながら奥へと進んだ。
2メートルほど進むと隙間から出ることができた。そして目に入った光景に内心で”ヨシッ!”と叫んだ。
そこは二十メートル四方ほどの広場で、奥に黒い門があったからだ。
そう、ここは階層守護者の部屋だ。
だが1階層の守護者部屋のように門の近くに階層守護者の姿が見えない。
どういうことだ? と薄暗い周囲を見渡したその時だった。
左上から気配を感じ咄嗟に鉄の小盾を構えると、同時にギンッという音と衝撃が小盾を襲った。
急ぎリュックをその場に置き、マチェットを構え音のした方へ向くが何もない。
慌てず小盾を前に構えつつ周囲を伺う。
しかし敵の姿はどこにも見えない。
目で探すのは諦め神経を尖らせ待つ。
すると今度は右側から気配を感じたので盾を構える。
ギンッ!
再び金属が擦れる音と衝撃。
だが今度こそ原因である存在の姿が見えた。
青い兎だ。ただ、大きさはホーンラビットと同じだが、耳が長く光を反射している。まるで剣のように見える。
「耳が剣みたいになっているのか。さしずめソードラビットってところか」
ソードラビットは攻撃を防がれるとすぐさま近くの岩壁を後ろ足で蹴り、小部屋の高い位置を高速で移動している。
なるほど。攻撃後は高速で上に逃げていたのか。
この薄暗い洞窟の中で、そうやって相手より高い位置から攻撃してくるということか。
かなりの速度で飛んでくるので厄介ではある。が、タネが割れればあとはホーンラビットと一緒だ。
俺は身体強化魔法を発動し、ソードラビットから目を離さず壁を背に攻撃してくるのを待つ。
身体強化で動体視力も強化され、今度はソードラビットの姿をしっかりと目で追えるようになった。
すると馬鹿の一つ覚えのように、左側の壁を蹴ったソードラビットが一直線に迫ってくる。
魔法を発動する暇はない。
だから今度は盾で受けるのではなく、盾と耳が接触する瞬間に一歩前に踏み込みソードラビットの耳と胴体ごと真上へと弾く。
『ウィンドカッター』
ガンッ! という音と共に打ち上げられたソードラビットの腹部へウィンドカッターを放った。
その結果、ソードラビットは思いのほか簡単に真っ二つとなった。
「耐久力はホーンラビット以下か」
速度特化という感じだな。確かに速い上に長く剣のような耳で三次元攻撃をしてくるのは厄介だな。
まあ身体強化をした俺には遅く感じるくらいだったが。
やはり身体強化を取得したのは正解だった。取得してなければもう少し苦戦したかもしれない。
俺はそんな検証をしつつ、消滅していくソードラビットを見つめていた。
そして消滅したソードラビットの場所に転がる黒い魔石を拾い上げる。
「1階層守護者と同じか」
ソードラビットの魔石は、1階層の階層守護者であるビッグホーンラビットと同じ物だった。
F+ランクの魔石は、Fランクのホーンラビットと同じ小指ほどの大きさで色が濃いのですぐにわかる。
しかしビッグホーンラビットとソードラビットが同じ強さ判定というのはちょっとな。明らかにデカイだけのビッグホーンラビットの方が戦いやすかった。同じF+ランクでも強さに差があるという事か。それか質量特化と速度特化の違いか。
「まあ良い、それよりもだ」
魔石を拾い上げたリュックにしまった俺は、視線を黒い門へと向ける。いや、正確には門の前にいつの間にか現れた銅色の宝箱にだ。
俺は口角を上げ宝箱へと近づく。
宝箱に鍵穴がないのは一緒だ。が、油断はしない。
いつも通り宝箱の側面にしゃがみマチェットで蓋を開ける。
「罠はなし。さて、何が入っているかね」
これまで宝箱には、革鎧や鉄の小盾に4等級ポーションなど買うと5千や1万DPするものが入っていた。
期待しつつ宝箱を覗き込む。すると最初に布が目に入った。
「これは……ローブか。おっ! マチェット! しかもかなり良さげなやつだ」
灰色のフード付きローブを取り出すと、その下に黒い鞘に収まったマチェットが横たわっていた。
「重い……が、振れないほどではないな」
残念ながら宝箱にはこの二つしか入っていなかったので、さっそくマチェットを取り出し持ってみるとかなり重かった。体感で今まで使っていたマチェットの2倍はありそうだ。
大きさは今まで使っていたものよりも若干大きいが、なぜこんなに重いんだ?
まあ魔力と共に身体能力が上がっている俺には問題なく振れるが。
「おお、暗殺者仕様か?」
不思議に思い鞘から抜いてみると、刀身も真っ黒なことに若干テンションが上がる。
「これは……鉄……なんだろうがただの鉄じゃないな」
黒い刀身をよく見ると塗装されているようには見えない。試しに今まで使っていたマチェットで傷をつけてみるが塗装が剥げる様子はない。
「黒い鉄なんかあったか? まあ頑丈そうだからいいか」
俺は今まで使っていたマチェットをリュックに固定しようとするが、リュックの周りは途中宝箱で手に入れた木製の小盾やナイフなどが複数固定されている。はっきり言って背負いにくい。が、なんとか移動の邪魔にならないようロープで固定する。
そして新しいマチェットを腰の剣帯に装着した。
「ローブはどうするかな」
ローブを広げ羽織ってみるとちょうど良い大きさだが、洞窟内は特に寒いという事はない。
ふと気になったので腰から短剣を取り出しローブの端を切りつけてみる。
「やはり防刃仕様か」
宝箱から出てきたからただのローブじゃないと思っていたが、強化守衛服のように防刃仕様だった。
それなら話は別だ。俺は安全のためにローブを装備することにした。
それにしても必要な物が宝箱から割とピンポイントで出るな。
1階層の階層守護者の宝箱の中身もそうだった。あの時は革鎧が欲しいと思っていたら入っていた。木の丸盾の上位互換の鉄の小盾も一緒にだ。
そして今回はマチェット。剣や槍ではなくマチェットだ。
これはどこからかサキュバスクイーンが見ているのか? それで守護者を倒した者が必要な物を宝箱に入れてくれている? もしくはそうなるよう自動化されているかだな。
「自動化っぽいな」
いちいち全員の動きを見るほどサキュバスクイーンも暇じゃないだろう。いつテスターが守護者を倒しにくるかもわからないわけだしな。
ならば次は予備の小盾や革鎧が入ってそうだな。
「まあ必要な物が入っているのはありがたいか」
買えば1万とか2万はしそうな装備だ。それに使わない武器防具を手に入れても売ることができない。必要な装備が手に入るのはありがたい。
さてと、次の階層に行ってみるか。
俺はローブの上からリュックを背負い、目の前の黒い門を開けた。
すると門の先には見慣れた洞窟の壁が見える。
「また洞窟か……」
いい加減飽きてきたぞ。
そんなうんざりした気持ちになりながらも俺は門を潜るのだった。
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